「回路計算 - 合成インピーダンス」の版間の差分

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== 概要 ==
== 概要 ==
 
回路の受動素子(抵抗R、コイルL、コンデンサC)が直列接続または並列接続されている場合の合成インピーダンスの計算手順を記載する。<br>
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RLC直列回路の合成インピーダンス<math>\dot{Z}</math>のベクトルの向きは、複素数平面の右上(第1象限)または右下(第4象限)または実数軸上となる。<br>
RLC直列回路の合成インピーダンス<math>\dot{Z}</math>のベクトルの向きは、複素数平面の右上(第1象限)または右下(第4象限)または実数軸上となる。<br>
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RLC直列回路の合成インピーダンス<math>\dot{Z}</math>は、上式の虚部(\omega L - \frac{1}{\omega C})が正・負・ゼロの時、それぞれ<math>\dot{Z}</math>のベクトルの向きが変わる。<br>
RLC直列回路の合成インピーダンス<math>\dot{Z}</math>は、上式の虚部(<math>\omega L - \frac{1}{\omega C}</math>)が正・負・ゼロの時、それぞれ<math>\dot{Z}</math>のベクトルの向きが変わる。<br>
したがって、<math>\omega L - \frac{1}{\omega C} > 0, \quad \omega L - \frac{1}{\omega C} < 0, \quad \omega L - \frac{1}{\omega C} = 0</math>の時で、場合分けして考える必要がある。<br>
したがって、<math>\omega L - \frac{1}{\omega C} > 0, \quad \omega L - \frac{1}{\omega C} < 0, \quad \omega L - \frac{1}{\omega C} = 0</math>の時で、場合分けして考える必要がある。<br>
* <math>\omega L - \frac{1}{\omega C} > 0</math> の場合
* <math>\omega L - \frac{1}{\omega C} > 0</math> の場合
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\end{align}
\end{align}
</math><br>
</math><br>
<br><br>
== 例題 ==
==== 例題 1 ====
下図のようなRL回路がある時、抵抗に掛かる電圧を求める。<br>
[[ファイル:CircuitCalc Synthetic Impedance 9.png|フレームなし|中央]]
<br>
回路のインピーダンス<math>\dot{Z}</math>とインピーダンスの大きさ<math>|Z|</math>は、次式となる。<br>
<math>\dot{Z} = R + j \omega L = 15 + j20</math><br>
<math>|Z| = \sqrt{15^2 + 20^2} = 25 \, [\Omega]</math><br>
<br>
全体に流れる電流Iの大きさ<math>|I|</math>は、次式となる。<br>
<math>|I| = \frac{|V|}{|Z|} = \frac{100}{25} = 4 \, [ \mbox{A} ]</math><br>
<br>
したがって、抵抗に掛かる電圧<math>\dot{V_{R}}</math>は、次のようになる。<br>
<math>\dot{V_{R}} = |I| \times R = 4 \times 15 = 60 \, [\mbox{V}]</math>となる。<br>
<br>
インダクタに掛かる電圧<math>\dot{V_{L}}</math>は、次のようになる。<br>
<math>\dot{V_{L}} = |I| \times j \omega L = 4 \times j20 = j80 \, [\mbox{V}]</math>となる。<br>
<br>
電圧<math>\dot{V}</math>および電圧の大きさ<math>|V|</math>を求める場合は、次式のように計算する。<br>
<math>\dot{V} = 60 + j80</math> より、<br>
<math>|V| = \sqrt{60^2 + 80^2} = 100 \, [\mbox{V}]</math> となる。<br>
<br>
==== 例題 2 ====
下図のような回路がある時、各抵抗、インダクタ、コンデンサに掛かる電圧を求める。<br>
[[ファイル:CircuitCalc Synthetic Impedance 10.png|フレームなし|中央]]
<br>
電流I<sub>1</sub>より、<br>
<math>
\begin{align}
\dot{V_{R1}} &= |I_1| \times R_1 = 20 \times 4 = 80 \, [\mbox{V}] \\
\dot{V_{L}}  &= |I_1| \times j \omega L = 20 \times j3 = j60 \, [\mbox{V}] \\
|E| &= |V_1| = \sqrt{80^2 + 60^2} = 100 \, [\mbox{V}]
\end{align}
</math><br>
<br>
電流I<sub>2</sub>は、電源電圧100[V]と抵抗R<sub>2</sub>およびコンデンサCのインピーダンスZ<sub>2</sub>より、10[A]となる。<br>
<math>|I_2| = \frac{|E|}{|Z_2|} = \frac{100}{\sqrt{6^2 + 8^2}} = 10 \, [\mbox{A}]</math><br>
<br>
回路に流れる全電流Iは、電源電圧Eから回路全体のインピーダンスZを除算することにより、求めることができる。<br>
<math>\dot{Y_1} = \frac{1}{4 + j3}, \quad \dot{Y_2} = \frac{1}{6 - j8}</math><br>
<math>
\begin{align}
\dot{Z} &= \frac{1}{\dot{Y}} \\
&= \frac{1}{\dot{Y_1} + \dot{Y_2}} \\
&= \frac{1}{\frac{1}{4 + j3} + \frac{1}{6 - j8}} = \frac{(4 + j3)(6 - j8)}{4 + j3 + 6 - j8} = \frac{48 - j14}{10 - j5} \\
&= \frac{(48 - j14)(10 + j5)}{125} = \frac{550 + j100}{125} = \frac{22 + j4}{5} \\
&= \frac{22}{5} + j \frac{4}{5}
\end{align}
</math><br>
<br>
したがって、インピーダンス <math>\dot{Z}</math> の大きさは、<br>
<math>
\begin{align}
\left | Z \right | &= \sqrt{\left ( \frac{22}{5} \right)^2 + \left ( \frac{4}{5} \right )^2} \\
&= \dfrac{1}{5} \sqrt{22^2 + 4^2} \\
&= \dfrac{1}{5} \sqrt{500} \\
&= 2 \sqrt{5} \\
& \cong 4.47 \, [\Omega]
\end{align}
</math><br>
<br>
<math>|I| = \frac{|E|}{|Z|} = \frac{100}{4.47} \cong 22.37 \, [\mbox{A}]</math> となる。<br>
<br>
または、次式のように求めることもできる。<br>
<math>|I| = \sqrt{I_{1}^{2} + I_{2}^{2}} = \sqrt{20^2 + 10^2} = 10 \sqrt{5} \, [\mbox{A}]</math><br>
<br><br>
<br><br>


__FORCETOC__
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[[カテゴリ:回路計算]]
[[カテゴリ:回路計算]]

2025年1月15日 (水) 14:10時点における最新版

概要

回路の受動素子(抵抗R、コイルL、コンデンサC)が直列接続または並列接続されている場合の合成インピーダンスの計算手順を記載する。


RL直列回路の合成インピーダンス

RL直列回路は、抵抗RとコイルLが直列に接続された回路で、下図のような回路になる。

図.1 抵抗RとコイルLが直列接続の回路



直列回路の合成インピーダンスZ˙を求める場合、それぞれのインピーダンスを加算することにより求められる。

RL直列回路の合成インピーダンスZ˙は、次式で与えられる。
なお、角周波数ω=2πfである。

  • 複素数表示の場合

Z˙=R+jωL[Ω]

ω0,R>0,L>0であるため、(Z)=R>0,(Z)=ωL>0となり、
RL直列回路の合成インピーダンスZ˙のベクトルの向きは、必ず右上向き(複素数平面の第1象限)になる。

  • 合成インピーダンスの大きさの場合

Z˙=R+jωL|Z|=R2+(ωL)2[Ω]


RC直列回路の合成インピーダンス

RC直列回路は、抵抗RとコンデンサCが直列に接続された回路で、下図のような回路になる。

図.2 抵抗RとコンデンサCが直列接続の回路



直列回路の合成インピーダンスZ˙を求める場合、それぞれのインピーダンスを加算することにより求められる。

RC直列回路の合成インピーダンスZ˙は、次式で与えられる。
なお、角周波数ω=2πfである。

  • 複素数表示の場合

Z˙=R+1jωC=Rj1ωC[Ω]

ω0,R>0,C>0であるため、
(Z)=R>0,(Z)=1ωC<0となり、
RC直列回路の合成インピーダンスZ˙のベクトルの向きは、必ず右下向き(複素数平面の第4象限)になる。

  • 合成インピーダンスの大きさの場合

Z˙=R+1jωC=Rj1ωC|Z|=R2+(1ωC)2[Ω]


LC直列回路の合成インピーダンス

LC直列回路は、抵抗RとコンデンサCが直列に接続された回路で、下図のような回路になる。

図.3 コイルLとコンデンサCが直列接続の回路



直列回路の合成インピーダンスZ˙を求める場合、それぞれのインピーダンスを加算することにより求められる。

LC直列回路の合成インピーダンスZ˙は、次式で与えられる。
なお、角周波数ω=2πfである。

  • 複素数表示の場合

Z˙=jωL+1jωC=jωLj1ωC=j(ωL1ωC)[Ω]

ω0,L>0,C>0であるため、
(Z)=0,<(Z)=1ωC<となり、
LC直列回路の合成インピーダンスZ˙のベクトルの向きは、必ず、虚数軸上となる。

LC直列回路の合成インピーダンスZ˙は、上式の分母が正・負・ゼロの時、それぞれZ˙のベクトルの向きが変わる。
したがって、1ω2LC>0,1ω2LC<0,1ω2LC=0の時で、場合分けして考える必要がある。

  • ωL1ωC>0の場合
    上式のリアクタンスが正になるため、合成インピーダンスのベクトルは、虚数軸上の正の向きになる。

  • ωL1ωC<0の場合
    上式のリアクタンスが負になるため、合成インピーダンスのベクトルは、虚数軸上の負の向きになる。

  • ωL1ωC=0の場合
    上式のリアクタンスが0になるため、合成インピーダンスのベクトルは、複素数平面の原点Oとなる。
    インピーダンスが0ということは、その回路は短絡状態と同じになる。

    また、ωL1ωC=0 すなわち、ω=1LC は、回路の共振条件である。


  • 合成インピーダンスの大きさの場合

Z˙=jωL+1jωC=j(ωL1ωC)|Z|=(ωL1ωC)2=|ωL1ωC|[Ω]


RLC直列回路の合成インピーダンス

RLC並列回路は、抵抗R、コイルL、コンデンサCが並列に接続された回路で、下図のような回路になる。

図.4 抵抗R、コイルL、コンデンサCが直列接続の回路



直列回路の合成インピーダンスZ˙を求める場合、それぞれのインピーダンスを加算することにより求められる。

RLC直列回路の合成インピーダンスZ˙は、次式で与えられる。
なお、角周波数ω=2πfである。

  • 複素数表示の場合

Z˙=Z1˙+Z2˙+Z3˙=R+jωL+1jωC=R+jωLj1ωC=R+j(ωL1ωC)[Ω]

ω0,R>0,L>0,C>0であるため、
(Z)=R>0,<(Z)=ωL1ωC<となり、
RLC直列回路の合成インピーダンスZ˙のベクトルの向きは、複素数平面の右上(第1象限)または右下(第4象限)または実数軸上となる。

RLC直列回路の合成インピーダンスZ˙は、上式の虚部(ωL1ωC)が正・負・ゼロの時、それぞれZ˙のベクトルの向きが変わる。
したがって、ωL1ωC>0,ωL1ωC<0,ωL1ωC=0の時で、場合分けして考える必要がある。

  • ωL1ωC>0 の場合
    上式のリアクタンスが正になるため、合成インピーダンスのベクトルは、右上の向き(第1象限)になる。

  • ωL1ωC<0 の場合
    上式のリアクタンスが負になるため、合成インピーダンスのベクトルは、右下の向き(第4象限)になる。

  • ωL1ωC=0 の場合
    上式のリアクタンスが0になるため、合成インピーダンスのベクトルは、実数軸上の正の向きになる。(Z˙=R[Ω])
    この条件を満たす周波数は共振周波数であるため、コイルLとコンデンサCの直列回路部分は短絡状態と同じになる。

    また、ωL1ωC=0 すなわち、ω=1LC は、回路の共振条件である。


  • 合成インピーダンスの大きさの場合

Z˙=R+jωL+1jωC=R+j(ωL1ωC)|Z|=R2+(ωL1ωC)2[Ω]


RL並列回路の合成インピーダンス

RL並列回路は、抵抗RとコイルLが並列に接続された回路で、下図のような回路になる。

図.5 抵抗RとコイルLが並列接続の回路



並列回路の合成インピーダンスZ˙を求める場合、
それぞれのインピーダンスの逆数(アドミタンス)を加算して、その逆数をとることにより求められる。

RL並列回路の合成インピーダンスZ˙は、次式で与えられる。
なお、角周波数ω=2πfである。

  • 複素数表示の場合

1Z˙=Y1˙+Y2˙=1R+1jωLZ˙=1Y1˙+Y2˙=11R+1jωL=jωRLR+jωL=jωRL(RjωL)R2+(ωL)2=ω2RL2+jωR2LR2+(ωL)2=ω2RL2R2+(ωL)2+jωR2LR2+(ωL)2[Ω]

ω0,R>0,L>0であるため、
(Z)=ω2RL2R2+(ωL)2>0,(Z)=ωR2LR2+(ωL)2>0となり、
RL並列回路の合成インピーダンスZ˙のベクトルの向きは、必ず右上向き(複素数平面の第1象限)になる。

  • 合成インピーダンスの大きさの場合

Z˙=11R+1jωL=jωRLR+jωL|Z|=(ωRL)2R2+(ωL)2=ωRLR2+(ωL)2[Ω]


RC並列回路の合成インピーダンス

RC並列回路は、抵抗RとコンデンサCが並列に接続された回路で、下図のような回路になる。

図.6 抵抗RとコンデンサCが並列接続の回路



並列回路の合成インピーダンスZ˙を求める場合、
それぞれのインピーダンスの逆数(アドミタンス)を加算して、その逆数をとることにより求められる。

RC並列回路の合成インピーダンスZ˙は、次式で与えられる。
なお、角周波数ω=2πfである。

  • 複素数表示の場合

1Z˙=Y1˙+Y2˙=1R+jωCZ˙=1Y1˙+Y2˙=11R+jωC=R1+jωRC=R(1jωRC)1+(ωRC)2=RjωR2C1+(ωRC)2=R1+(ωRC)2jωR2C1+(ωRC)2[Ω]

ω0,R>0,C>0であるため、
(Z)=R1+(ωRC)2>0,(Z)=ωR2C1+(ωRC)2<0となり、
RC並列回路の合成インピーダンスZ˙のベクトルの向きは、必ず右下向き(複素数平面の第4象限)になる。

  • 合成インピーダンスの大きさの場合

Z˙=11R+jωC=R1+jωRC|Z|=R212+(ωRC)2=R1+(ωRC)2[Ω]


LC並列回路の合成インピーダンス

LC並列回路は、抵抗RとコンデンサCが並列に接続された回路で、下図のような回路になる。

図.7 コイルLとコンデンサCが並列接続の回路



並列回路の合成インピーダンスZ˙を求める場合、
それぞれのインピーダンスの逆数(アドミタンス)を加算して、その逆数をとることにより求められる。

LC並列回路の合成インピーダンスZ˙は、次式で与えられる。
なお、角周波数ω=2πfである。

  • 複素数表示の場合

1Z˙=Y1˙+Y2˙=1jωL+jωCZ˙=1Y1˙+Y2˙=11jωL+jωC=jωL1ω2LC[Ω]

ω0,L>0,C>0であるため、
(Z)=0,<(Z)=ωL1ω2LC<となり、
LC並列回路の合成インピーダンスZ˙のベクトルの向きは、必ず、虚数軸上となる。

LC並列回路の合成インピーダンスZ˙は、上式の分母が正・負・ゼロの時、それぞれZ˙のベクトルの向きが変わる。
したがって、1ω2LC>0,1ω2LC<0,1ω2LC=0の時で、場合分けして考える必要がある。

  • 1ω2LC>0の場合
    上式のリアクタンスが正になるため、合成インピーダンスのベクトルは、虚数軸上の正の向きになる。

  • 1ω2LC<0の場合
    上式のリアクタンスが負になるため、合成インピーダンスのベクトルは、虚数軸上の負の向きになる。

  • 1ω2LC=0の場合
    上式のリアクタンスが無限大になるため、合成インピーダンスのベクトルは、虚数軸上の正の向きに無限大となる。
    インピーダンスが無限大ということは、その回路は開放状態と同じになる。

    また、1ω2LC=0 すなわち、ω=1LC は、回路の共振条件である。


  • 合成インピーダンスの大きさの場合

Z˙=11jωL+jωC=jωL1ω2LC|Z|=(ωL)212+(ω2LC)2=|ωL1+(ω2LC)2|[Ω]


RLC並列回路の合成インピーダンス

RLC並列回路は、抵抗R、コイルL、コンデンサCが並列に接続された回路で、下図のような回路になる。

図.8 抵抗R、コイルL、コンデンサCが並列接続の回路



並列回路の合成インピーダンスZ˙を求める場合、
それぞれのインピーダンスの逆数(アドミタンス)を加算して、その逆数をとることにより求められる。

RLC並列回路の合成インピーダンスZ˙は、次式で与えられる。
なお、角周波数ω=2πfである。

  • 複素数表示の場合

1Z˙=Y1˙+Y2˙+Y3˙=1R+1jωL+jωCZ˙=1Y1˙+Y2˙+Y3˙=11R+1jωL+jωC=jωRLR+jωLω2RLC=jωRLRω2RLC+jωL=jωRL(Rω2RLCjωL)(Rω2RLC)2+(ωL)2=ω2RL2+jωR2Ljω3R2L2CR2(1ω2LC)2+(ωL)2=ω2RL2R2(1ω2LC)2+(ωL)2+jωR2Lω3R2L2CR2(1ω2LC)2+(ωL)2=ω2RL2R2(1ω2LC)2+(ωL)2+jωR2L(1ω2LC)R2(1ω2LC)2+(ωL)2[Ω]

ω0,R>0,L>0,C>0であるため、
(Z)=ω2RL2R2(1ω2LC)2+(ωL)2>0,<(Z)=ωR2L(1ω2LC)R2(1ω2LC)2+(ωL)2<となり、
RLC並列回路の合成インピーダンスZ˙のベクトルの向きは、複素数平面の右上(第1象限)または右下(第4象限)または実数軸上となる。

RLC並列回路の合成インピーダンスZ˙は、上式の分子(特に、1ω2LC)が正・負・ゼロの時、それぞれZ˙のベクトルの向きが変わる。
したがって、1ω2LC>0,1ω2LC<0,1ω2LC=0の時で、場合分けして考える必要がある。

  • 1ω2LC>0の場合
    上式のリアクタンスが正になるため、合成インピーダンスのベクトルは、右上の向き(第1象限)になる。

  • 1ω2LC<0の場合
    上式のリアクタンスが負になるため、合成インピーダンスのベクトルは、右下の向き(第4象限)になる。

  • 1ω2LC=0の場合
    上式のリアクタンスが0になるため、合成インピーダンスのベクトルは、実数軸上の正の向きになる。(Z˙=R[Ω])
    この条件を満たす周波数は反共振周波数であるため、コイルLとコンデンサCの並列回路部分は開放状態と同じになる。

    また、1ω2LC=0 すなわち、ω=1LC は、回路の共振条件である。


  • 合成インピーダンスの大きさの場合

Z˙=jωRLR+jωLω2RLC=jωRLRω2RLC+jωL=jωRLR(1ω2LC)+jωL|Z|=(ωRL)2R2(1ω2LC)2+(ωL)2=ωRLR2(1ω2LC)2+(ωL)2[Ω]


例題

例題 1

下図のようなRL回路がある時、抵抗に掛かる電圧を求める。


回路のインピーダンスZ˙とインピーダンスの大きさ|Z|は、次式となる。
Z˙=R+jωL=15+j20
|Z|=152+202=25[Ω]

全体に流れる電流Iの大きさ|I|は、次式となる。
|I|=|V||Z|=10025=4[A]

したがって、抵抗に掛かる電圧VR˙は、次のようになる。
VR˙=|I|×R=4×15=60[V]となる。

インダクタに掛かる電圧VL˙は、次のようになる。
VL˙=|I|×jωL=4×j20=j80[V]となる。

電圧V˙および電圧の大きさ|V|を求める場合は、次式のように計算する。
V˙=60+j80 より、
|V|=602+802=100[V] となる。

例題 2

下図のような回路がある時、各抵抗、インダクタ、コンデンサに掛かる電圧を求める。


電流I1より、
VR1˙=|I1|×R1=20×4=80[V]VL˙=|I1|×jωL=20×j3=j60[V]|E|=|V1|=802+602=100[V]

電流I2は、電源電圧100[V]と抵抗R2およびコンデンサCのインピーダンスZ2より、10[A]となる。
|I2|=|E||Z2|=10062+82=10[A]

回路に流れる全電流Iは、電源電圧Eから回路全体のインピーダンスZを除算することにより、求めることができる。
Y1˙=14+j3,Y2˙=16j8
Z˙=1Y˙=1Y1˙+Y2˙=114+j3+16j8=(4+j3)(6j8)4+j3+6j8=48j1410j5=(48j14)(10+j5)125=550+j100125=22+j45=225+j45

したがって、インピーダンス Z˙ の大きさは、
|Z|=(225)2+(45)2=15222+42=15500=254.47[Ω]

|I|=|E||Z|=1004.4722.37[A] となる。

または、次式のように求めることもできる。
|I|=I12+I22=202+102=105[A]