インストール - 画面キャプチャ
概要
Linuxにおいて、デスクトップ画面を録画するソフトウェアはいくつか存在する。
各ソフトウェアの特徴は以下の通りである。
- VokoscreenNG
- VokoScreenの後継として開発されたQtベースのスクリーンレコーダーである。
- 軽量で使いやすく、画面全体やウィンドウ、指定領域の録画に対応する。
- GStreamerおよびFFmpegをバックエンドとして使用する。
- Simple Screen Recorder
- Linux用の画面キャプチャソフトウェアである。
- ffmpegやavconv、VLCよりも使いやすいことを目的としたシンプルなツールである。
- OBS Studio
- ビデオ録画とライブストリーミングのための高機能なオープンソースソフトウェアである。
- シーンやソースの切り替え、フィルタ、プラグインによる拡張等、豊富な機能を備える。
- 利用にはOpenGL 3.3以降が必要である。
- Kazam
- GNOME環境向けの画面録画およびスクリーンショットツールである。
- 画面全体、特定のウィンドウ、指定領域の録画に加え、スクリーンショットの撮影にも対応する。
- Recordly
- Electronベースのオープンソースのスクリーンレコーダー兼エディタである。
- 録画機能とタイムラインベースの編集機能が統合されており、オートズーム、カーソル編集、フレーム装飾等の機能を備える。
- MacOS、Windows、Linuxに対応する。
- ライセンスはAGPL 3.0である。
| ソフトウェア | ベース技術 | ライブストリーミング | 編集機能 | 対応OS |
|---|---|---|---|---|
| VokoscreenNG | Qt / GStreamer / FFmpeg | 非対応 | 非対応 | Linux |
| Simple Screen Recorder | Qt / FFmpeg | 非対応 | 非対応 | Linux |
| OBS Studio | Qt / FFmpeg | 対応 | 非対応 | Linux / MacOS / Windows |
| Kazam | GTK / GStreamer | 非対応 | 非対応 | Linux |
| Recordly | Electron / FFmpeg | 非対応 | 対応 | Linux / MacOS / Windows |
VokoscreenNG
概要
VokoScreenの後継は、VokoscreenNG(NGはNew Generationの略)として生まれ変わった。
Qtベースのユーザーインターフェイスと一連の重要な機能を備えている。
パッケージ管理システムからインストール
以下のコマンドを実行してインストールする。
# RHEL sudo dnf install vokoscreenNG # SUSE sudo zypper install vokoscreenNG
ソースコードからインストール
vokoscreenNGのビルドに必要なライブラリをインストールする。
ただし、vokoscreenNG 4.0では、Qt 6.5ライブラリ以降が必要なことに注意する。
sudo zypper install pkg-config libpulse-devel libX11-devel wayland-devel wayland-protocols-devel \
qt6-tools-devel libqt5-qttools-devel qt6-base-devel qt6-base-common-devel qt6-linguist-devel qt6-multimedia-devel
gstreamer-devel gstreamer-devtools-devel
# FFmpeg 4をインストールする場合
ffmpeg-4-libavcodec-devel ffmpeg-4-libavdevice-devel ffmpeg-4-libavfilter-devel \
ffmpeg-4-libavformat-devel ffmpeg-4-libavutil-devel ffmpeg-4-libavresample-devel ffmpeg-4-libswscale-devel
# FFmpeg 6をインストールする場合
ffmpeg-6-libavcodec-devel ffmpeg-6-libavdevice-devel ffmpeg-6-libavfilter-devel \
ffmpeg-6-libavformat-devel ffmpeg-6-libavutil-devel ffmpeg-6-libavresample-devel ffmpeg-6-libswscale-devel
vokoscreenNGのGithubにアクセスして、ソースコードをダウンロードする。
ダウンロードしたファイルを解凍する。
tar xf vokoscreenNG-<バージョン>.tar.gz cd vokoscreenNG-<バージョン>/src mkdir build && cd build
vokoscreenNGをビルドおよびインストールする。
qmake .. make -j $(nproc) make install
Simple Screen Recorder
概要
Simple Screen Recorderは、Linux用の画面キャプチャスフトウェアである。
ffmpegやavconv、VLCよりも使用しやすいという意味でシンプルである。
パッケージ管理システムからインストール
以下のコマンドを実行してインストールする。
# RHEL sudo dnf install simplescreenrecorder # SUSE sudo zypper install simplescreenrecorder
ソースコードからインストール
ソースコードをダウンロードするため、以下のコマンドを実行する。
mkdir ~/SSR && cd SSR git clone --recursive https://github.com/MaartenBaert/ssr src cd src
ソースコードをコンパイルするため、以下のコマンドを実行する。
cmake -DCMAKE_INSTALL_PREFIX="$HOME/SSR" -DCMAKE_BUILD_TYPE=Release make
以下のコマンドを実行して、Simple Screen Recorderをインストールする。
make install
OBS Studio
概要
OBS Studioとは、ビデオ録画とライブストリーミングのための無料のオープンソースソフトウェアのことである。
ここでは、RHELとSUSEにおけるインストール方法を記載しているが、他のディストリビューションにインストールする場合は、公式Webサイトを参照すること。
※注意
LinuxでOBS Studioを使用するには、OpenGL 3.3以降が必要である。
システムでサポートされているOpenGLのバージョンを確認するために、以下のコマンドを実行する。
glxinfo | grep "OpenGL"
Packmanリポジトリを追加してインストール
SLE / openSUSE Leapの場合、PackmanリポジトリにあるFFmpegが必要なため(完全なコーデックが必要となるため)、Packmanリポジトリを追加する必要がある。
Packmanリポジトリを追加するには、設定 - SUSE_Linux#PackmanリポジトリとPackman_Essentialを参照すること。
OBS Studioをインストールする。
sudo zypper install obs-studio
ソースコードからインストール
OBS Studioのビルドに必要なパッケージをインストールする。
もし、パッケージ管理システムにlibspeexdsp-develパッケージが存在しない場合、speexdspのGitからソースコードをダウンロードしてビルドおよびインストールする。
# RHEL
sudo dnf install make gcc gcc-c++ gcc-objc cmake git libX11-devel mesa-libGL-devel libv4l-devel pulseaudio-libs-devel libspeexdsp-devel x264-devel freetype-devel fontconfig-devel \
libXcomposite-devel libXinerama-devel qt5-qtbase-devel qt5-qtx11extras-devel qt5-qtsvg-devel libcurl-devel systemd-devel ffmpeg ffmpeg-devel luajit-devel python3-devel \
mbedtls mbedtls-devel swig
# SUSE
sudo zypper install cmake ninja pkg-config patterns-devel-base-devel_basis patterns-devel-C-C++-devel_C_C++ python3-devel \
libcurl-devel mbedtls-devel libjansson-devel luajit-devel \
swig libcmocka-devel libglvnd-devel librist-devel srt-devel pciutils-devel pipewire-devel \
ffmpeg-4-libavcodec-devel ffmpeg-4-libavdevice-devel ffmpeg-4-libavfilter-devel ffmpeg-4-libavformat-devel ffmpeg-4-libavutil-devel \
ffmpeg-4-libswresample-devel ffmpeg-4-libswscale-devel \
libX11-devel libxcb-devel libXinerama-devel libXcomposite-devel libXfixes-devel libXss-devel \
Mesa-libGL-devel Mesa-libGLESv1_CM-devel Mesa-libGLESv2-devel Mesa-libGLESv3-devel \
wayland-devel wayland-protocols-devel \
libx264-devel # Pacmanリポジトリが必要
# Qt 6を使用する場合
qt6-base-devel qt6-base-private-devel qt6-svg-devel qt6-wayland-devel qt6-imageformats-devel
# Qt 5を使用する場合
libqt5-qtbase-devel libqt5-qtbase-private-headers-devel libqt5-qtsvg-devel libqt5-qtwayland-devel libqt5-qtx11extras-devel
# プラグインのビルドに必要
alsa-devel libfdk-aac-devel fontconfig-devel freetype2-devel libjack-devel libpulse-devel sndio-devel speex-devel speexdsp-devel \
systemd-devel libv4l-devel vlc-devel libva-devel libvpl-devel nlohmann_json-devel asio-devel websocketpp-devel libdrm-devel
まず、OBS StudioのGithubにアクセスして、OBS Studioのソースコードをダウンロードする。
ダウンロードしたファイルを解凍する。
unzip OBS-Studio-<バージョン>.zip cd OBS-Studio-<バージョン>
または、git cloneコマンドを実行して、CEFのソースコードをダウンロードする。
git clone --recursive https://github.com/obsproject/obs-studio.git cd obs-studio
次に、CEFのソースコードをダウンロードする。
wget https://cdn-fastly.obsproject.com/downloads/cef_binary_5060_linux64.tar.bz2 tar -xjf ./cef_binary_5060_linux64.tar.bz2
OBS Studioをビルドおよびインストールする。
PipeWireのサポートを有効にするには、-DENABLE_PIPEWIREをONに設定する。
ブラウザのソースサポートを無効にする場合(x86の場合等)、-DENABLE_BROWSERオプションをOFFに設定する。
mkdir build && cd build
cmake .. \
-DCMAKE_C_COMPILER=<GCC 8以降のGCC> -DCMAKE_CXX_COMPILER=<G++8以降のG++> \
-DCMAKE_BUILD_TYPE=Release \
-DCMAKE_INSTALL_PREFIX=<OBS Studioのインストールディレクトリ>" \
-DENABLE_AJA=OFF \
-DUNIX_STRUCTURE=1 \
-DBUILD_BROWSER=ON \ # ブラウザのソースサポートを有効にする場合
-DCEF_ROOT_DIR="../../cef_binary_5060_linux64" # ブラウザのソースサポートを有効にする場合
-DQT_VERSION=6 \ # Qt 6を使用する場合
-DQT_VERSION=5 \ # Qt 5を使用する場合
-DENABLE_PIPEWIRE=ON # PipeWireのサポートを有効にする場合
make -j $(nproc)
make install
ビルド時において、LuaJITのパスの検索に失敗する場合、cmakeコマンドの-DLUAJIT_INCLUDE_DIRオプションにLuaJITのパスを指定する。
-DLUAJIT_INCLUDE_DIR=/usr/include/luajit-<バージョン>
~/.profileファイル等に、環境変数LD_LIBRARY_PATHを追記する。
vi ~/.profile
# ~/.profileファイル
export LD_LIBRARY_PATH="/<OBS Studioのインストールディレクトリ>/lib:$LD_LIBRARY_PATH"
OBS Studioのデスクトップエントリファイルを作成する。
# ~/.local/share/applications/OBS-Studio.desktop
[Desktop Entry]
Version=1.0
Type=Application
Name=OBS Studio
GenericName=Streaming/Recording Software
Comment=Free and Open Source Streaming/Recording Software
Exec=/<OBS Studioのインストールディレクトリ>/bin/obs
Icon=/<OBS Studioのインストールディレクトリ>/share/icons/obs.png
Terminal=false
Categories=AudioVideo;Recorder;
StartupNotify=true
StartupWMClass=obs
Kazam
概要
Kazamのインストール
SUSEにおいて、Kazamをインストールするには、リポジトリをシステムに追加してインストールする。
sudo zypper addrepo https://ftp.lysator.liu.se/pub/opensuse/repositories/GNOME:/Apps/openSUSE_Leap_$releasever/ gnome-apps-x86_64
sudo zypper install kazam
Kazamのソースコードをダウンロードしてインストールするには、こちらのWebサイトにアクセスする。
Kazamの使用方法
録画の開始
Kazamを使用してデスクトップ画面を録画するには、以下の手順に従う。
- Kazamのメイン画面にて、[Screencast] - [Full Screen]タブを選択する。
- [When capturing include:]項目には、[Mouse cursors]、[Sound from speakers]、[Sound from microphone]のオプションがある。
[Mouse cursors]を選択して、スクリーンキャストにマウスを記録する。
スピーカーサウンドまたはマイクサウンドを録音する場合は、各オプションにチェックを入力する。 - Kazamのメイン画面下にある[Capture]ボタンを押下して、画面のキャプチャを開始する。
- [Capture]ボタンを押下すると、デスクトップ画面の中央にカウントダウンタイマが表示される。
カウントダウンが終了すると、デスクトップ画面の録画が始まる。
録画の終了
- 録画を終了するには、システムトレイにあるKazamアイコンを右クリックして、[Finish recording]を選択する。
- [Finish recording]を選択すると、保存ダイアログが表示されて、録画ファイルが保存できる。
特定のウインドウのみ録画する
- デスクトップ画面全体ではなく、特定のウインドウのみを録画する場合は、[Screencast] - [Window] - [Capture]を選択する。
特定の領域エリアのみ録画する
- 特定の領域を記録する場合は、[Screencast] - [Area]を選択する。
次に、マウスカーソルを任意のデスクトップ上でドラッグして録画する領域を選択して、[Capture]ボタンを押下する。
ハードコピーを採取する
Kazamは、スクリーンショットを採取することができる。
スクリーンショットを採取するには、Kazamのメイン画面の上部にある[Screenshot]を選択する。
Recordly
概要
Recordlyは、Electronベースのオープンソースのスクリーンレコーダー兼エディタである。
編集なしで洗練された画面録画を作成する をコンセプトとしており、録画機能とタイムラインベースの編集機能が統合されている。
主な機能は以下の通りである。
- オートズーム機能
- 録画中のクリック位置やテキスト入力箇所を自動検出して、ズームを提案する。
- カーソル編集・スタイリング
- スムーズなカーソル動作とアニメーション、複数のカーソル型やサイズの選択が可能。
- フレーム装飾
- 背景やシャドウ、デバイスフレーム、グラデーション背景、ウェブカムオーバーレイの追加が可能。
- タイムラインベースの編集
- ドラッグ&ドロップでトリム、ズーム、速度調整、注釈、オーディオ領域を編集できる。
- .recordlyプロジェクトファイルとして編集履歴を保存・再編集できる。
- エクスポート
- MP4およびGIF形式でのエクスポートに対応する。
対応OSは以下の通りである。
- MacOS 14.0以降 (Intel / Apple Silicon)
- Windows 10 Build 19041以降
- Linux (AppImage形式)
ライセンスはAGPL 3.0である。
事前構築版のインストール
RecordlyのGitHub Releasesページから、使用するプラットフォームに対応したファイルをダウンロードする。
各プラットフォームのインストール手順は以下の通りである。
MacOS
Recordly-arm64.dmg (Apple Silicon) または Recordly-x64.dmg (Intel) をダウンロードする。
ダウンロードした.dmgファイルをダブルクリックして、ApplicationsフォルダにRecordlyをドラッグする。
初回起動時に、スクリーンキャプチャ、オーディオ、カメラ、マイクのアクセス許可が求められる。
Windows
Recordly-windows-x64.exeをダウンロードする。
ダウンロードしたインストーラーを実行して、画面の指示に従いインストールする。
Linux
Recordly-linux-x64.AppImage をダウンロードする。
ダウンロードしたファイルに実行権限を付与して実行する。
chmod +x Recordly-linux-x64.AppImage ./Recordly-linux-x64.AppImage
ソースコードからインストール
ソースコードからビルドする場合は、以下の前提条件が必要である。
- Node.js 18以降
- Git
- ビルドツール
- MacOS: Xcode Command Line Tools
- Windows: Visual Studio 2022 (Build Toolsで十分)
- Linux: build-essentialパッケージ
Recordlyのソースコードをダウンロードする。
git clone https://github.com/webadderallorg/Recordly.git recordly cd recordly
依存関係をインストールしてビルドする。
npm install # すべてのプラットフォーム向けビルド npm run build # 特定のプラットフォーム向けビルド npm run build:mac # MacOS npm run build:win # Windows npm run build:linux # Linux
ビルド済みアプリケーションはrelease/ディレクトリに生成される。
開発モードで実行する場合は、以下のコマンドを使用する。
npm run dev
使用方法
録画
Recordlyを使用してデスクトップ画面を録画するには、以下の手順に従う。
- Recordlyを起動する。
- 録画対象を選択する。(ディスプレイ全体またはアプリケーションウィンドウ)
- 必要に応じて、オーディオ入力 (マイク、システムオーディオ) を設定する。
- 「Record」ボタンをクリックして録画を開始する。
- 録画が終了すると、プロジェクトがタイムラインエディタで自動的に開かれる。
編集
録画終了後、タイムラインエディタで以下の編集を行うことができる。
- トリム
- クリップの開始・終了ポイントをドラッグして不要な部分を削除する。
- ズーム
- 特定の領域を指定してズーム効果を追加する。(オートズーム提案機能あり)
- 速度調整
- クリップの再生速度を変更する。
- 注釈
- テキスト、図形等を追加する。
- オーディオ
- 音声トラックの編集・調整を行う。
- カーソル・フレーム設定
- カーソルのスタイルや大きさの選択、背景色やシャドウの設定、ウェブカムオーバーレイの追加が可能。
プロジェクトは .recordly 形式で保存でき、編集履歴が保持されるため後から再編集できる。
エクスポート
編集が完了したら、以下の手順でエクスポートする。
- エディタで「Export」を選択する。
- エクスポート形式を選択する。(MP4またはGIF)
- 品質設定を調整する。
- 出力ファイルの保存先を指定して確認する。