VPN - OVPN

提供: MochiuWiki : SUSE, EC, PCB

2026年3月25日 (水) 03:17時点におけるWiki (トーク | 投稿記録)による版 (ページの作成:「== 概要 == OVPNは、スウェーデンのストックホルムに拠点を置くプライバシー重視のVPNサービスである。<br> 2014年にOVPN Integritet ABとして設立され、RAM-onlyサーバやマルチホップ接続等、技術的なプライバシー保護に注力している。<br> 2020年のスウェーデン法廷において、ノーログポリシーが法的に実証された実績を持つ。<br> <br> 2023年5月にPangoに買収さ…」)
(差分) ← 古い版 | 最新版 (差分) | 新しい版 → (差分)

概要

OVPNは、スウェーデンのストックホルムに拠点を置くプライバシー重視のVPNサービスである。
2014年にOVPN Integritet ABとして設立され、RAM-onlyサーバやマルチホップ接続等、技術的なプライバシー保護に注力している。
2020年のスウェーデン法廷において、ノーログポリシーが法的に実証された実績を持つ。

2023年5月にPangoに買収され、2024年にPoint Wild (旧TotalAV) と合併している。
この買収後もノーログポリシーの継続が明記されているが、Point Wildグループの他製品に関するプライバシー上の懸念が指摘されている。

下表に、OVPNの主な特徴を示す。

OVPN VPNの主な特徴
特徴 説明
RAM-onlyサーバ ハードドライブを持たず、iPXEによる暗号化起動と署名検証を採用している。
物理コンソールおよびUSBポートを廃止しており、電源切断でデータが消滅する。
法廷でのノーログ実証 2020年のスウェーデン裁判所の判決により、ノーログポリシーが法的に実証されている。
これは、VPNプロバイダとしては世界初のケースとされている。
マルチホップ (Dynamic Multihop) 2つのサーバを経由する接続であり、入口サーバと出口サーバを個別に選択できる。
単一サーバへの依存を排除してプライバシーを強化する。
ポートフォワーディング 最大7ポートのポートフォワーディングをサポートしている。
使用可能なポート範囲は49152〜65535である。
Public IPv4 月額$4で専用の静的IPv4アドレスを取得できるオプション機能である。
キルスイッチ VPN接続が切断された時に自動でネットワークトラフィックを遮断する機能を搭載している。
DNSリーク保護 OVPNの独自DNSサーバの使用を強制して、1秒ごとに監視する仕組みを採用している。
暗号通貨・現金対応 Bitcoin、Ethereum、Moneroの暗号通貨に加え、現金の郵送による完全匿名での支払いに対応している。


OVPNのメリットとデメリット
メリット デメリット
RAM-onlyサーバを採用しており、法廷でノーログポリシーが実証されている。 サーバ台数が世界32都市96台のみであり、競合他社の数千台と比較して大幅に少ない。
暗号通貨および現金郵送に対応しており、完全匿名での契約が可能である。 月額$4.22〜$12の料金は、競合他社と比較して高めである。
平均ダウンロード速度141[Mbps]、アップロード速度120[Mbps]の通信速度を持つ。 同時接続デバイス数が最大7台(36ヶ月契約時)と制限がある。
WireGuardおよびOpenVPNの両プロトコルに対応している。 BBC iPlayer等、一部のストリーミングサービスに対応していない。
第三者機関による独立した監査の公開レポートが確認されていない。
透明性レポートが未公開である。
Pangoグループ(Point Wild)との関係において、プライバシー上の懸念がある。


下表に、OVPNの料金を示す。(2026年3月現在)

OVPN 料金プラン
プラン 月額料金 同時接続台数
1ヶ月 $12/月 4台
12ヶ月 $4.99/月 5台
36ヶ月 $4.22/月 7台


10日間の返金保証が設けられている。
対応OSは、Windows、MacOS、Linux (Ubuntu、Debian、Fedora、openSUSE)、Android、iOSである。


ノーログポリシーの実態

公式ノーログポリシーの内容

OVPNは、以下に示すデータを記録しないとしている。

  • ユーザのIPアドレス
  • デバイスID
  • 接続日時および時間
  • データ転送量
  • 訪問したURL
  • ダウンロード情報
  • 使用したプロトコル
  • DNSクエリ


一方、以下に示すデータは保持される。

  • ユーザ名およびパスワード (メールアドレスはオプション)
  • デバイス接続数 (IPアドレスやタイムスタンプを含まない)
  • 接続成功フラグ (ブール値のみ)
  • 支払い情報
  • サポート連絡先


したがって、OVPNは一切のデータを保持しないわけではなく、通信に関するログを保持しない という意味でのノーログVPNである。

第三者監査の状況

OVPNは、2026年3月現在において、公開された第三者機関による独立した監査レポートが確認されていない。

これは、Mullvad VPNやNordVPN等の主要競合他社が定期的に第三者監査を実施し、その結果を公開していることと対照的である。
透明性レポートについても未公開であり、このことはOVPNの信頼性評価における留意点となる。

法廷での実績 (2020年スウェーデン)

OVPNのノーログポリシーは、2020年のスウェーデンにおける裁判において法的に実証されている。

  • 経緯
    映画制作企業 (AB Svensk FilmindustriおよびNordisk Film A/S) が、Rights Alliance経由でユーザ情報の開示をOVPNに要求した。
  • 裁判所の判断
    スウェーデン特許・市場裁判所が判決を下し、OVPNはログを保有しておらず、情報開示が不可能であると認定した。
    裁判所はOVPNをインターネットプロバイダーではないと判断して、データ保持指令の適用対象外であるとした。
  • 結果
    映画制作企業がOVPNの弁護士費用として約108,000 SEK (約$12,300) を負担することになった。
    これは、VPNプロバイダのノーログポリシーが法廷で実証された事例として広く知られている。


技術的なプライバシー保護

OVPNは以下に示す技術的な仕組みによりプライバシーを保護している。

  • RAM-onlyサーバ
    全サーバがハードドライブを持たない揮発性メモリ (RAM) のみで動作している。
    iPXEによる暗号化起動と署名検証を採用しており、改竄を検知できる仕組みを持つ。
    物理コンソールおよびUSBポートを廃止しており、物理的なアクセスによるデータ抽出が困難である。
    電源を切断した時点でサーバ上の全データが消滅する。
  • マルチホップ (Dynamic Multihop)
    2つのVPNサーバを経由して接続する機能であり、入口サーバと出口サーバを個別に選択できる。
    単一のサーバが侵害された場合でも、ユーザの実際のIPアドレスと通信内容を同時に把握することが困難になる。
  • DNSリーク保護
    OVPNの独自DNSサーバの使用を強制し、1秒ごとに監視する仕組みを採用している。
    DNSクエリが外部に漏洩することを防止する。
  • 対応プロトコル
    OpenVPN (AES-256-GCM暗号化、ChaCha20-Poly1305、TLSv1.3) およびWireGuardに対応している。


管轄法域に関する考慮事項

OVPNはスウェーデンに拠点を置いており、スウェーデンは14 Eyes情報共有同盟の加盟国である。

  • データ保持指令に関する経緯
    スウェーデンは2012年にEUのデータ保持指令を国内法化した。
    2014年、EU司法裁判所がこのデータ保持指令を無効と判断した。
    2020年の裁判では、裁判所がOVPNをISPではないと判断して、データ保持義務が適用されないと認定した。
  • 留意事項
    スウェーデンは14 Eyes加盟国であるため、国際的な情報共有の枠組みの影響を受ける可能性がある。
    令状カナリーおよび透明性レポートが未公開であり、法執行機関からの要請状況を外部から確認できない。


他のノーログVPNとの比較

下表に、OVPNと主要なノーログVPNとの比較を示す。

ノーログVPN 比較
項目 OVPN Mullvad NordVPN
本社所在地 スウェーデン スウェーデン パナマ
14 Eyes加盟国 該当する 該当する 該当しない
第三者監査 公開レポートなし 定期実施・公開あり 定期実施・公開あり
法廷での実績 2020年スウェーデン (ノーログ実証済み) 2023年スウェーデン (家宅捜索でデータ提供不可) 2024年パナマ (支払い情報のみ提供)
RAMオンリーサーバ 対応済み 2024年9月完全移行 対応済み
透明性レポート 未公開 重大事件のみ公開 公開あり
サーバ数 96台 (32都市) 数百台 (約45カ国) 数千台 (約111カ国)
マルチホップ 対応 (Dynamic Multihop) 対応 対応 (Double VPN)
匿名支払い 暗号通貨・現金 暗号通貨・現金 暗号通貨
料金 (最安) $4.22/月 (36ヶ月) 約€4.9/月 約$3.09/月


留意点

OVPNを選択する時には、以下の点に留意することを推奨する。

  • 2023年にPangoに買収され、2024年にPoint Wild (旧TotalAV) と合併している。
    Point Wildグループの他製品 (Hotspot Shield、Betternet等) にはプライバシー上の懸念が指摘されており、
    OVPNへの影響について継続的な注視が必要である。
  • 第三者機関による独立した監査レポートが公開されておらず、ノーログポリシーの技術的な実装について外部から検証することが困難である。
  • スウェーデンは14 Eyes加盟国であり、国際的な情報共有の枠組みの影響を受ける可能性がある。
  • 一方で、2020年の法廷での実績はノーログポリシーの信頼性を裏付ける重要な根拠となっている。



OVPNの契約方法

OVPNの契約手順を以下にに示す。

  1. OVPNの公式Webサイトへアクセスして、料金プランを選択する。
  2. アカウントを作成する。
    メールアドレスはオプションであり、ユーザ名とパスワードのみで登録できる。
    完全な匿名性を希望する場合は、使い捨てメールアドレスの使用を検討すること。
  3. 支払い方法を選択して、料金を支払う。
    支払い方法は、クレジットカード、PayPal、暗号通貨 (Bitcoin、Ethereum、Monero)、または現金郵送から選択できる。
    完全な匿名性を希望する場合は、Moneroまたは現金郵送が推奨される。
  4. OVPNの公式Webサイトにアクセスして、使用するOSに対応したOVPNクライアントをダウンロードする。
    対応OSは、Windows、MacOS、Linux (Ubuntu、Debian、Fedora、openSUSE)、Android、iOSである。
  5. OVPNクライアントをインストールおよび起動して、登録したユーザ名とパスワードでログインする。
  6. 接続するサーバを選択して、VPN接続を開始する。
    マルチホップ接続を使用する場合は、入口サーバと出口サーバを個別に選択する。


10日間の返金保証が設けられており、不満がある場合はサポートに連絡することで返金を受けられる。


VPN over Tor

OVPNは、VPN over Tor (Tor経由でVPNに接続する方式) を公式にはサポートしていない。

SOCKS5プロキシサービスの提供もないため、他のVPNプロバイダが提供する公式なVPN over Tor接続機能は利用できない。

技術的には、OpenVPNの設定ファイルに以下に示すオプションを設定することにより、手動でTor経由のVPN接続を試みることは可能である。
ただし、この方法はOVPNの公式サポート対象外であり、動作の保証はない。

# OpenVPN設定ファイルに追記する (非公式)
socks-proxy 127.0.0.1 9050


この場合、Torクライアント (Torブラウザ または Torデーモン) を事前に起動しておく必要がある。

なお、OpenVPNをTor経由で使用する場合は、TorはTCPのみをサポートするため、OpenVPNのプロトコルをTCPに設定する必要がある。


Tor over VPN

VPNネットワーク経由でTorに接続する方法である。
この方式では、OVPNが出口ノードとなり、その先にTorネットワークが続く構成になる。

OVPNは公式ドキュメントにTor over VPNの手順を明記していないが、VPN接続後にTorブラウザを起動する標準的な方法で実現できる。

  1. OVPNクライアントを起動して、任意のVPNサーバに接続する。
  2. Torブラウザの公式Webサイトにアクセスして、Torブラウザをダウンロードおよびインストールする。
  3. Torブラウザを起動して、[Connect]ボタンを押下する。
    Torブラウザの設定はデフォルトのままでよい。


この方式により、インターネットサービスプロバイダ (ISP) からはVPN接続のみが見え、Torを使用していることが隠蔽される。
また、TorネットワークはVPN接続の先にあるため、OVPNのサーバからはTor経由のトラフィックとして見える。