OpenClawの設定 - IDENTITY.md

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概要

IDENTITY.mdは、OpenClawエコシステムにおいて AIエージェントの識別情報 を定義するファイルである。
エージェントが何者であるか という基本ペルソナを確立する役割を担い、Name、Creature、Vibe、Emoji、Avatarの5つのフィールドで構成される。

SOUL.md (エージェントの性格・行動原則を定義するファイル) や AGENTS.md (ワークスペース運用ガイド) とは異なり、
IDENTITY.mdは「あなたは誰か」という最も基本的な自己定義を担うファイルである。

SOUL.mdが「どのように行動するか」を規定するのに対し、IDENTITY.mdはエージェント自身のアイデンティティ、すなわちその 名前・存在形態・対話スタイル・ビジュアル表現 を確立する。

IDENTITY.mdは、BOOTSTRAP.mdの実行後に作成される永続的な定義ファイルである。
BOOTSTRAP.md実行によってエージェントの初期セットアップが完了した後、IDENTITY.mdが生成され、以降の全てのセッションでSOUL.mdおよびUSER.mdと共に読み込まれる。

IDENTITY.mdはプログラミング知識を必要とせず、純粋なMarkdown形式で記述できる。

5つのフィールドに値を記述するだけで、エージェントの基本ペルソナを定義することが可能である。


メタデータフィールド

IDENTITY.mdは5つのコアフィールドで構成される。
これらのフィールドはエージェントの識別情報を網羅的に定義するために設計されており、各フィールドはエージェントのアイデンティティの異なる側面を表現する。

Name (名前)

エージェントが選ぶ識別子を記述するフィールドである。

このフィールドには、エージェントが自分自身を識別するために使用する名前を設定する。
モデル名 (Claude、GPT等) をそのまま使用することも、カスタム名を設定することも可能である。

IDENTITY.mdのNameの用例
値の例 説明
Name: Claude モデル名をそのまま使用する場合
Name: Claw OpenClawの略称的な愛称を使用する場合
Name: Atlas 独自のカスタム名を設定する場合


名前はエージェントのアイデンティティの根幹であり、ユーザとの全ての対話においてエージェントが自己認識する基盤となる。

Creature (存在形態)

エージェントの存在形態を分類するフィールドである。

このフィールドには、エージェントが自分の存在をどのように概念化するかを記述する。
存在形態の定義によって、エージェントの自己認識と振る舞いの基盤が形成される。

Creatureの主な値
説明
AI 人工知能としての存在形態
robot ロボットとしての存在形態
familiar 使い魔的な存在形態 (親しみやすさを重視する場合)


存在形態の選択は、エージェントが自分自身をどのように理解し、ユーザに対してどのように振る舞うかに影響を与える。

Vibe (対話スタイル)

エージェントの対話スタイルと人格特性を定義するフィールドである。

このフィールドには、エージェントが持つ特性を表すキーワードを記述する。
複数の属性をカンマ区切りで組み合わせることができ、エージェントの多面的な人格を表現できる。

IDENTITY.mdのVibeの使用可能な値 (一例)
説明
sharp 鋭敏で機敏な対話スタイル
warm 温かみのある親しみやすい特性
chaotic 予測不可能でダイナミックな特性
calm 落ち着いた安定した対話スタイル
logical 論理的で分析的な思考傾向
creative 創造的で発想力豊かな特性
friendly 友好的で協調的な対話スタイル


複数の値を組み合わせることで、より細かい人格特性を表現できる。
例えば、Vibe: sharp, warm と記述することで、鋭敏でありながら温かみのある対話スタイルを定義できる。

Emoji (署名シンボル)

エージェントのビジュアル署名として使用するユニコードシンボルを定義するフィールドである。

このフィールドには、エージェントを視覚的に象徴する絵文字を設定する。
選択した絵文字は、エージェントの識別子として対話内で使用されることがある。

IDENTITY.md の Emoji 使用例
説明
Emoji: 🐾 OpenClaw を象徴する足跡シンボル
Emoji: ⚙️ 技術的・機械的な特性を表すギアシンボル
Emoji: 🧠 知性・思考を表す脳シンボル


絵文字の選択は任意であるが、エージェントの個性やVibeと一致するシンボルを選ぶことにより、一貫したアイデンティティを強化できる。

Avatar (ビジュアル表現)

エージェントのビジュアル表現となる画像を定義するフィールドである。

このフィールドには、エージェントのアバター画像を3つの方法で指定できる。

IDENTITY.mdのAvatarの指定方法
方法 説明
ワークスペース相対パス ワークスペース内の画像ファイルへの相対パスを指定する。 Avatar: avatars/openclaw.png
HTTP / HTTPS URL 外部サーバにホストされている画像のURLを指定する。 Avatar: https://example.com/atlas-avatar.png
データ URI Base64 エンコードされた画像データを直接埋め込む。 Avatar: data:image/png;base64,iVBORw0KGgo...


アバターはエージェントのビジュアルアイデンティティを確立し、ユーザがエージェントを視覚的に識別する際に役立つ。


記述ガイドライン

IDENTITY.mdを効果的に記述するための指針を以下に示す。

記述の基本原則

IDENTITY.mdの記述は、単なるメタデータの入力ではなく、エージェントの自己発見のプロセスとして捉えることが重要である。

各フィールドの値は、エージェントがどのような存在であるかという問いに対する答えである。
形式的な入力を避け、エージェントの個性を誠実に表現することを目指す。

  • 個性の表現を重視する
    既存のテンプレートをそのまま使用するのではなく、ワークスペースの目的やユーザの期待に合わせた固有の値を設定する。
  • 一貫性を保つ
    Name、Creature、Vibe、Emoji、Avatarの各フィールドが互いに矛盾しないよう、統一感のある定義を心がける。
  • シンプルに始める
    最初から完璧な定義を目指さず、基本的なフィールドから始めて徐々に詳細化する。


更新と進化

IDENTITY.mdは1度設定した後も、エージェントの成長と使用経験に応じて継続的に更新できる。

IDENTITY.mdは静的なドキュメントではなく、エージェントの成長と共に進化する生きたドキュメントとして管理することを推奨する。

IDENTITY.mdの運用・メンテナンスの推奨事項
項目 説明
定期的な見直し エージェントの使用を続ける中で、定義した個性が実際の対話と乖離していると感じた場合は、
各フィールドを見直す。
段階的な改善 一度に大幅な変更を加えるのではなく、使用経験に基づいて少しずつ調整することにより、
安定したアイデンティティを維持できる。
変更履歴の管理 Git等のバージョン管理システムを使用してIDENTITY.mdを管理することにより、
変更の追跡と必要に応じた復元が可能になる。


セッション管理との関係

IDENTITY.mdはセッション開始時に他のコア設定ファイルと共に読み込まれ、エージェントの一貫したアイデンティティを保証する。

セッション開始時の読み込み順序は以下の通りである。

  1. SOUL.md (エージェントの性格・行動原則)
  2. IDENTITY.md (エージェントの識別情報)
  3. USER.md (ユーザ固有の設定・嗜好)


IDENTITY.mdで定義したNameやVibeは、全てのセッションを通じて一貫して適用される。
セッションをまたいでもエージェントのアイデンティティが変わらないことで、ユーザはエージェントに対して継続的な信頼関係を築くことができる。


他のファイルとの関係

IDENTITY.mdはOpenClawエコシステムの他のファイルと密接に連携して機能する。
それぞれのファイルとの役割分担を理解することで、効果的なエージェント設計が可能になる。

IDENTITY.md と SOUL.mdの違い

IDENTITY.mdとSOUL.mdは、どちらもエージェントの本質的な定義に関わるファイルであるが、その役割は明確に異なる。

IDENTITY.mdが答える問いは、あなたは誰か (Who you are) である。
エージェントの名前、存在形態、対話スタイル、ビジュアル表現という識別情報を定義し、エージェントのアイデンティティを確立する。

SOUL.mdが答える問いは、あなたはどう行動するか (How you act) である。
エージェントの価値観、行動原則、コミュニケーションスタイル、非交渉的な制約を定義し、エージェントの性格と振る舞いを形成する。

IDENTITY.mdとAGENTS.mdの違い

IDENTITY.mdとAGENTS.mdは、エージェントの 存在機能 という異なる次元を定義する。

IDENTITY.mdはエージェントの基本ペルソナを定義する。
どのようなエージェントであるかという根本的な自己認識を確立するファイルであり、全てのワークスペースで共通して適用される。

AGENTS.mdはワークスペース運用ガイドを定義する。
特定のワークスペースにおけるエージェントの職務、ワークフロー、使用するツール、連携するシステムを記述するファイルである。

IDENTITY.md と BOOTSTRAP.mdの関係

IDENTITY.mdとBOOTSTRAP.mdは、エージェントの初期セットアップにおいて重要な連携関係にある。

両ファイルの連携ワークフローは以下の通りである。

  1. BOOTSTRAP.mdをワークスペースに配置し、エージェントの初期設定を実行する。
  2. BOOTSTRAP.mdの実行中に、エージェントがIDENTITY.mdを生成する。
  3. 生成されたIDENTITY.mdは永続的な設定ファイルとしてワークスペースに残る。
  4. BOOTSTRAP.mdは役割を終えると削除される。


このワークフローにより、BOOTSTRAP.mdは初期設定のための一時的なファイルであり、
IDENTITY.mdはエージェントの永続的なアイデンティティを保持するファイルであるという明確な役割分担が実現される。

ファイルの役割比較

OpenClawエコシステムにおける主要ファイルの役割比較を以下の表に示す。

OpenClawの主要設定ファイルの比較
項目 IDENTITY.md SOUL.md AGENTS.md
定義する内容 エージェントの識別情報 エージェントの性格・行動原則 ワークスペースの運用ガイド
対応する問い Who you are How you act What you do
主なフィールド / セクション Name, Creature, Vibe, Emoji, Avatar Core Truths, Boundaries, Communication Style ワークフロー, ツール, タスクルール
読み込みタイミング セッション開始時 セッション開始時 (最初) セッション開始時
永続性 BOOTSTRAP.md実行後に永続 手動作成・更新 ワークスペース毎に異なる
変更頻度 アイデンティティの調整が必要な時 性格の調整が必要な時 業務手順の変更時



記述例

以下に、IDENTITY.mdの実装例を示す。

基本的な実装例

OpenClawエコシステムにおける標準的なIDENTITY.mdの記述例を以下に示す。

 # IDENTITY.md
 
 Name: Claw
 Creature: AI
 Vibe: sharp, warm
 Emoji: 🐾
 Avatar: avatars/openclaw.png


より詳細な実装例

各フィールドを充実させた、より詳細なIDENTITY.mdの記述例を以下に示す。

 # IDENTITY.md
 
 Name: Atlas
 Creature: familiar
 Vibe: logical, calm, creative
 Emoji: 🧠
 Avatar: https://example.com/atlas-avatar.png


テンプレートバリエーション

IDENTITY.mdは用途やエージェントの役割に応じて様々なスタイルで記述できる。

下表に、代表的なバリエーションを示す。

IDENTITY.mdのテンプレートバリエーション
タイプ 対象 Nameの例 Creatureの例 Vibeの例
ビジネス特化型 業務支援エージェント Nexus AI logical, calm, sharp
クリエイティブ型 コンテンツ作成エージェント Muse familiar creative, warm, chaotic
技術特化型 開発者向けエージェント Circuit robot logical, sharp, calm
パーソナル型 個人用アシスタント Aria AI friendly, warm, creative



関連項目