概要
Hyper-V Server 2016は、Microsoftが提供する無償のスタンドアロン型ハイパーバイザーであり、仮想化環境を構築するために使用される。
Windows Server 2016のHyper-V役割と同等の仮想化機能を持ちながら、GUIを持たないServer Core構成で動作するため、リソース消費を抑えることができる。
ライセンス費用が不要であるため、小規模な仮想化環境やテスト環境の構築に適している。
Hyper-V Server 2016の主な特徴は以下の通りである。
- 無償で利用可能 (ゲストOSのライセンスは別途必要)
- Windows Server 2016と同等のHyper-V機能を提供
- GUIを持たないため、リモート管理が必須
- ホストOSのメモリ消費が約3.5[GB]程度と比較的軽量
※注意
Hyper-V Server 2016のメインストリームサポートは2022年1月11日に終了しており、延長サポートは2027年1月12日に終了する。
また、Hyper-V Server 2019が最後のスタンドアロン版であり、Hyper-V Server 2022は提供されていない。
新規構築を検討する場合は、Hyper-V Server 2019、Windows Server 2022のHyper-V役割、Azure等のクラウドサービスも検討すること。
サポート状況
Hyper-V Server 2016のサポート状況は以下の通りである。
- メインストリームサポート終了
- 2022年1月11日 (既に終了)
- 延長サポート終了
- 2027年1月12日
2027年1月12日以降は、Microsoftからのセキュリティ更新プログラムやサポートが一切提供されなくなる。
延長サポート終了後も使用を継続する場合は、有償の拡張セキュリティ更新プログラム (ESU) の利用が可能である。
※注意
Hyper-V Server 2019が最後のスタンドアロン版であり、Hyper-V Server 2022は提供されていない。
移行を検討する場合は、Windows Server 2022のHyper-V役割、Azure等のクラウドサービスを検討すること。
システム要件
Hyper-V Server 2016を動作させるには、以下に示すシステム要件を満たす必要がある。
CPU要件
- 64ビット プロセッサ
- SLAT (Second Level Address Translation) 対応必須
- Intel VT-x (Intel Virtualization Technology) または AMD-V (AMD Virtualization) に対応したプロセッサが必要
- 具体的には、拡張ページテーブル (EPT) や入れ子になったページテーブル (NPT) 等のSLATテクノロジをサポートするプロセッサが必要
- ハードウェア支援仮想化のサポート
- BIOS または UEFI で仮想化サポートを有効化する必要がある。
- データ実行防止 (DEP) 機能
- Intel XDビット または AMD NXビット に対応したプロセッサが必要
※注意
Windows Server 2012 R2からの主な変更点として、SLAT (第2レベルのアドレス変換) が推奨から必須要件になった。
メモリ要件
- 最小 4[GB] RAM
- ホストと同時に実行するすべての仮想マシンに十分なメモリが必要
- Hyper-V Server 2016のホストOSだけで約3.5GB程度のメモリを消費するため注意すること
ストレージ要件
- HDD または SSDを推奨
- USBメモリ等に展開して起動することもできるが、長期的な運用には向かないため、HDD / SSDを使用することが望ましい。
準備するもの
Hyper-V Server 2016の構築には、以下に示すものを準備する。
- Hyper-V Server 2016のインストールメディア
- ISOファイルをMicrosoftの評価センターからダウンロード
- https://www.microsoft.com/ja-jp/evalcenter/evaluate-hyper-v-server-2016
- Windows 10 Pro または Windows 11 Pro がインストールされたクライアントPC
- Server ManagerおよびHyper-V ManagerでHyper-V Serverをリモート管理するため
構築手順
- Hyper-V Server 2016をDVDメディアからインストールする。
- Hyper-V Server 2016のセットアップする。
- 管理者パスワード設定する。
- ローカル管理者の追加
- ネットワーク設定
- リモート管理の構成
- Hyper-V Server 2016のファイアウォールを設定する。
- リモートデスクトップ、ファイル共有、リモート管理等の通信を許可する。
- Windows 10/11 ProがインストールされたクライアントPCのセットアップ
- リモートサーバ管理ツール (RSAT) のインストール
- サーバーマネージャーとHyper-Vマネージャーのセットアップおよび動作確認
Hyper-V Server 2016をDVDメディアからインストール
Hyper-V Server 2016のインストール手順は以下の通りである。
- 下記のURLより、Hyper-V Server 2016のISOファイルをダウンロードする。
- ISOファイルをDVDに書き込み、サーバへのインストールを開始する。
- インストール画面が起動する。
- オプションを確認して、[次へ]ボタンを押下する。
- [今すぐインストール]ボタンを押下する。(セットアップが始まる)
- [同意します]チェックボックスにチェックを入れて、[次へ]ボタンを押下する。
- インストールの種類では、新規インストールするため[カスタム : 新しいバージョンの ...]項目を選択する。
- 必要ならば、パーティションの設定を行い、[次へ]ボタンを押下すると、インストールが始まる。
- インストール完了後、自動的に再起動する。
Hyper-V Server 2016のセットアップ手順
再起動後、Hyper-V Server 2016をセットアップする。
- 管理者パスワードを設定する。(2回入力する)
- パスワードの設定完了後、Sconfigが自動的に起動する。
- ネットワーク越しにHyper-V Serverを制御する場合、最低限の設定項目として、ローカル管理者の追加とネットワーク設定を行う。
- また、更新プログラムのダウンロードとインストール、リモートデスクトップの有効化も設定する方がよい。
- もし、リモート管理の構成が無効になっている場合は、必ず有効化する。
- [3) ローカル管理者の追加]を選択して、アカウント名を入力する。
- 入力したアカウント名のパスワードを2回入力する。
パスワードの要件は、次の通りである。
- ユーザのアカウント名またはフルネームの大部分を使用しない。
- 長さは6文字以上にする。
- 次の4つのカテゴリのうち、3種類の文字を使う。
- 英大文字 (A - Z)
- 英小文字 (a - z)
- 10進数の数字 (0 - 9)
- アルファベット以外の文字 (!、$、#、% 等)
ネットワーク設定
- [8) ネットワーク設定]を選択して、ネットワークアダプターのインデックス番号を入力する。
- [1) ネットワーク アダプター アドレスの設定]を選択して、IPアドレスを入力する。(ここでは、DHCPを選択する)
- [DHCPが有効]の値が[True]になっていることを確認して、[4) メイン メニューに戻る]を選択する。
Hyper-V Server 2016のファイアウォールの設定
Hyper-V Server 2016のファイアウォールのルールを変更して、リモートデスクトップ接続やリモート管理に必要な通信を許可する。
※注意
"リモート デスクトップ"という文字列の"リモート"と"デスクトップ"の間には半角スペースが入っている。
全角スペースが入力されている場合 あるいは 半角スペースが入力されていない場合はエラーとなることに注意する。
コマンドプロンプトを起動して、各設定を行う。
# ネットワーク設定を管理するnetshコマンドを起動 netsh # ファイアウォールの詳細設定モードに移行 advfirewall # ファイアウォールルールの設定モードに移行 firewall # リモートデスクトップ接続を許可 (ポート3389) set rule group="リモート デスクトップ" new enable=yes # ファイルとプリンターの共有を許可 (ポート445等) set rule group="ファイルとプリンターの共有" new enable=yes # Windows リモート管理 (WinRM) を許可 (ポート5985/5986) set rule group="Windows リモート管理" new enable=yes # リモートからのイベントログ管理を許可 set rule group="リモート イベントのログ管理" new enable=yes # リモートからのボリューム管理を許可 set rule group="リモート ボリューム管理" new enable=yes # netshコマンドを終了 exit
ファイアウォールで許可されるポート
上記のコマンドにより、以下に示すポートが許可される。
- ポート 3389 (TCP)
- リモートデスクトップ接続
- ポート 5985 (TCP)
- WinRM HTTP (Windows リモート管理)
- ポート 5986 (TCP)
- WinRM HTTPS (セキュアなリモート管理)
- ポート 445 (TCP)
- SMB (ファイルとプリンタの共有)
- その他
- リモートイベントログ管理、リモートボリューム管理に必要なポート
Windows 10/11 ProがインストールされたクライアントPCのセットアップ
クライアントPCからHyper-V Server 2016をリモート管理するために、リモートサーバー管理ツール (RSAT) と Hyper-V管理ツールをインストールする。
リモートサーバー管理ツール (RSAT) のインストール
Windows 10 (October 2018 Update 以降) および Windows 11では、RSATは[オプション機能]として組み込まれており、Windows Updateを通じて提供される。
※注意
RSATは、Windows 10/11 Pro および Enterpriseエディションのみでサポートされている。
インストールにはインターネット接続が必要である。
GUIによる方法
- スタートメニューから[設定]を開く。
- [アプリ] - [オプション機能]選択する。
- [機能の追加] (または、[オプション機能の追加]) を選択する。
- 検索フィールドに、"RSAT" または "Hyper-V" と入力する。
- [RSAT: Hyper-V 管理ツール] (または、[Hyper-V 管理ツール]) を選択する。
- [次へ] - [インストール] を選択する。
PowerShellによる方法
管理者権限でPowerShellを起動して、以下に示すコマンドを実行する。
- Hyper-V管理ツールのみをインストールする場合
Add-WindowsCapability -Online -Name Rsat.Hyper-V.Tools~~~~0.0.1.0
- 全てのRSAT機能を一括インストールする場合
Get-WindowsCapability -Name RSAT* -Online | Add-WindowsCapability -Online
- インストール状況を確認する場合
Get-WindowsCapability -Name RSAT* -Online | Format-Table Name,State
代替方法 (Windows機能)
もし、Hyper-Vマネージャーがインストールされていない場合は、以下に示す手順で有効化する。
- コントロールパネルを開く。
- [プログラムと機能] - [Windowsの機能の有効化または無効化]を選択する。
- [Hyper-V]にチェックを入力する。
- 再起動が必要になる場合がある。
サーバーマネージャーとHyper-Vマネージャーのセットアップ
リモートサーバー管理ツール (RSAT) のインストール完了後、サーバーマネージャーとHyper-Vマネージャーを使用して、Hyper-V Server 2016にリモート接続する。
サーバーマネージャーの設定
- スタートメニューから [サーバーマネージャー]を起動する。
- [管理するサーバーの追加]を選択する。
- [DNS]タブを選択して、[検索]にHyper-V Server 2016のコンピュータ名を入力して検索ボタン (▶) を押下する。
- 検索結果から該当するサーバを選択して、[OK]ボタンを押下する。
- サーバーマネージャーの画面に戻ると、"最新の情報に更新できませんでした" と表示されるので、[すべてのサーバー]を選択する。
- 管理状態に、[WinRMのネゴシエート認証エラー] が表示されていることを確認する。
WinRMの信頼されたホストの設定
コマンドプロンプトまたはPowerShellを管理者権限で起動して、以下に示すコマンドを入力する。
winrm set winrm/config/client @{TrustedHosts="Hyper-V Server 2016のコンピュータ名"}
※注意
"Hyper-V Server 2016のコンピュータ名"の部分は、実際のコンピュータ名に置き換えること。
複数のホストを追加する場合は、カンマ区切りで指定する。(例: "Server1,Server2,Server3")
全てのホストを信頼する場合は、"*"を指定することもできるが、セキュリティリスクがあるため推奨されない。
管理に使用する資格情報の設定
- サーバーマネージャーに戻り、管理状態が "オンライン - アクセスが拒否されました" と表示されることを確認する。
- その該当箇所を右クリックして、[管理に使用する資格情報]を選択する。
- Hyper-V Server 2016のローカル管理者のユーザ名とパスワードを入力する。
- ユーザ名
- <コンピュータ名>\<ローカル管理者のユーザ名> の形式で入力する。
- 例: HV-Server01\Administrator
- ユーザ名
- [このアカウントを記憶する] チェックボックスにチェックを入力して、[OK]ボタンを押下する。
- "オンライン - パフォーマンスカウンターが開始されていません" と表示されている場合、接続が成功している。
- パフォーマンスカウンターはサーバ名を右クリックして、[パフォーマンスカウンターの開始]を選択すれば消える。
Hyper-Vマネージャーの設定
- 左部メニューの[Hyper-V]からサーバを選択して、右クリックして[Hyper-Vマネージャー]を選択すると、Hyper-Vマネージャー画面が起動する。
- Hyper-Vマネージャー画面にて、[操作]項目 (右部メニュー) から [サーバーに接続...]を選択する。
- [別のコンピューター]ラジオボタンを選択する。
- Hyper-V Server 2016のコンピュータ名を入力して、[OK]ボタンを押下する。
- 左部メニューに、Hyper-V Server 2016のコンピュータ名が表示されれば、Hyper-Vマネージャーの接続が完了する。
※注意
エクスプローラのアドレス欄に [\\コンピュータ名\C$] と入力して、ユーザ名とパスワードを入力すると、Hyper-V Serverのフォルダにアクセスできる。
この時のユーザ名はローカル管理者のユーザ名でよい。
トラブルシューティング
WinRMのネゴシエート認証エラーが発生する場合
WinRMの信頼されたホストにHyper-V Server 2016のコンピュータ名が追加されているか確認する。
- 確認コマンド
winrm get winrm/config/client
TrustedHostsの値に、Hyper-V Server 2016のコンピュータ名が含まれていることを確認する。
ファイアウォールの設定が反映されない場合
Hyper-V Server 2016側で、ファイアウォールルールが正しく設定されているかどうかを確認する。
- 確認コマンド
netsh advfirewall firewall show rule name=all | findstr "リモート デスクトップ"
Enabledの値がYesになっていることを確認する。
Hyper-Vマネージャーで接続できない場合
以下に示す項目を確認する。
- Hyper-V Server 2016のコンピュータ名が正しいかどうか
- ネットワーク接続が確立されているかどうか
- pingコマンドで確認する。
- ファイアウォールの設定が正しいかどうか
- WinRMの信頼されたホストに追加されているかどうか
- 資格情報が正しいかどうか
- 形式 : <コンピュータ名>\<ユーザ名>
関連リンク
- Windows および Windows Server での Hyper-V のシステム要件 - Microsoft Learn
- Windows でのリモート サーバー管理ツールのインストールと管理 - Microsoft Learn
- Hyper-V Server 2016 評価版ダウンロード - Microsoft
- 2027 年のサポート終了 - Microsoft Lifecycle