概要
Hyper-V Server 2019は、Microsoftが提供する無償のスタンドアロン型ハイパーバイザーであり、仮想化環境を構築するために使用される。
Windows Server 2019のHyper-V役割と同等の仮想化機能を持ちながら、GUIを持たないServer Core構成で動作するため、リソース消費を抑えることができる。
ライセンス費用が不要であるため、小規模な仮想化環境やテスト環境の構築に適している。
Hyper-V Server 2019の主な特徴は以下の通りである。
- 無償で利用可能 (ゲストOSのライセンスは別途必要)
- Windows Server 2019と同等のHyper-V機能を提供
- GUIを持たないため、リモート管理が必須
- ホストOSのメモリ消費が約3.5[GB]程度と比較的軽量
- Hyper-V Server 2016からの機能強化により、セキュリティと性能が向上
※注意
Hyper-V Server 2019のメインストリームサポートは2024年1月9日に終了しており、延長サポートは2029年1月9日に終了する。
また、Hyper-V Server 2019が最後のスタンドアロン版であり、Hyper-V Server 2022は提供されていない。
新規構築を検討する場合は、Windows Server 2022 / 2025のHyper-V役割、Azure Stack HCI、Azure等のクラウドサービスも検討すること。
サポート状況
Hyper-V Server 2019のサポート状況は以下の通りである。
- メインストリームサポート終了
- 2024年1月9日 (既に終了)
- 延長サポート終了
- 2029年1月9日
- 拡張セキュリティ更新プログラム (ESU)
- 延長サポート終了後、最大3年間利用可能 (有償)
2029年1月9日以降は、Microsoftからのセキュリティ更新プログラムやサポートが一切提供されなくなる。
延長サポート終了後も使用を継続する場合は、有償の拡張セキュリティ更新プログラム (ESU) の利用が可能である。
※注意
Hyper-V Server 2019が最後のスタンドアロン版であり、Hyper-V Server 2022は提供されていない。
移行を検討する場合は、Windows Server 2022/2025のHyper-V役割、Azure Stack HCI、Azure等のクラウドサービスを検討すること。
システム要件
Hyper-V Server 2019を動作させるには、以下に示すシステム要件を満たす必要がある。
CPU要件
- 64ビット プロセッサ
- SLAT (Second Level Address Translation) 対応必須
- Intel VT-x (Intel Virtualization Technology) または AMD-V (AMD Virtualization) に対応したプロセッサが必要
- 具体的には、拡張ページテーブル (EPT) や入れ子になったページテーブル (NPT) 等のSLATテクノロジをサポートするプロセッサが必要
- ハードウェア支援仮想化のサポート
- BIOS または UEFI で仮想化サポートを有効化する必要がある
- データ実行防止 (DEP) 機能
- Intel XDビット または AMD NXビット に対応したプロセッサが必要
※注意
SLAT (第2レベルのアドレス変換) は必須要件である。
メモリ要件
- 最小 4[GB] RAM
- ホストと同時に実行する全ての仮想マシンに十分なメモリが必要。
- Hyper-V Server 2019だけで約3.5[GB]程度のメモリを消費するため注意すること、
ストレージ要件
- 最小 32[GB] 推奨
- HDD または SSDを推奨
- USBメモリ等に展開して起動することもできるが、長期的な運用には向かないため、HDD / SSDを使用することが望ましい
2016からの新機能・改善点
Hyper-V Server 2019では、Hyper-V Server 2016からの以下の新機能と改善が含まれている。
セキュリティ機能の強化
- シールドVMのLinux対応
- Windows Server 2016ではWindows VMのみ対応していたシールドVM機能がLinux VMにも対応
- 仮想TPM (vTPM) サポート
- 仮想マシンに対してTPM機能を提供し、BitLockerなどのセキュリティ機能を利用可能
仮想化機能の強化
- ネストされた仮想化サポート
- Hyper-V仮想マシン内でHyper-Vを実行可能 (テスト環境や開発環境に有用)
- ネットワークセキュリティの強化
- 仮想スイッチのセキュリティ機能が向上
パフォーマンスの向上
- ストレージ容量の大幅向上
- 1ボリュームあたり最大64[TB]
- ストレージプールあたり最大4[PB]
- 動的メモリのパフォーマンス改善
- 動的メモリ割り当ての効率化により、メモリリソースをより効果的に活用可能
準備するもの
Hyper-V Server 2019の構築には、以下に示すものを準備する。
- Hyper-V Server 2019のインストールメディア
- ISOファイルをMicrosoftの評価センターからダウンロード
- https://www.microsoft.com/ja-jp/evalcenter/evaluate-hyper-v-server-2019
- Windows 10 Pro または Windows 11 Pro がインストールされたクライアントPC
- Server ManagerおよびHyper-V ManagerでHyper-V Serverをリモート管理するため
構築手順
- Hyper-V Server 2019をDVDメディアからインストールする。
- Hyper-V Server 2019のセットアップする。
- 管理者パスワード設定する。
- ローカル管理者の追加
- ネットワーク設定
- リモート管理の構成
- Hyper-V Server 2019のファイアウォールを設定する。
- リモートデスクトップ、ファイル共有、リモート管理等の通信を許可する。
- Windows 10/11 ProがインストールされたクライアントPCのセットアップ
- リモートサーバ管理ツール (RSAT) のインストール
- サーバーマネージャーとHyper-Vマネージャーのセットアップおよび動作確認
Hyper-V Server 2019をDVDメディアからインストール
Hyper-V Server 2019のインストール手順は以下の通りである。
- 下記のURLより、Hyper-V Server 2019のISOファイルをダウンロードする。
- ISOファイルをDVDに書き込み、サーバへのインストールを開始する。
- インストール画面が起動する。
- オプションを確認して、[次へ]ボタンを押下する。
- [今すぐインストール]ボタンを押下する。(セットアップが始まる)
- [同意します]チェックボックスにチェックを入れて、[次へ]ボタンを押下する。
- インストールの種類では、新規インストールするため[カスタム : 新しいバージョンの ...]項目を選択する。
- 必要ならば、パーティションの設定を行い、[次へ]ボタンを押下すると、インストールが始まる。
- インストール完了後、自動的に再起動する。
Hyper-V Server 2019のセットアップ手順
再起動後、Hyper-V Server 2019をセットアップする。
- 管理者パスワードを設定する。(2回入力する)
- パスワードの設定完了後、Sconfigが自動的に起動する。
- ネットワーク越しにHyper-V Serverを制御する場合、最低限の設定項目として、ローカル管理者の追加とネットワーク設定を行う。
- また、更新プログラムのダウンロードとインストール、リモートデスクトップの有効化も設定する方がよい。
- もし、リモート管理の構成が無効になっている場合は、必ず有効化する。
- [3) ローカル管理者の追加]を選択して、アカウント名を入力する。
- 入力したアカウント名のパスワードを2回入力する。
パスワードの要件は、次の通りである。
- ユーザのアカウント名またはフルネームの大部分を使用しない。
- 長さは6文字以上にする。
- 次の4つのカテゴリのうち、3種類の文字を使う。
- 英大文字 (A - Z)
- 英小文字 (a - z)
- 10進数の数字 (0 - 9)
- アルファベット以外の文字 (!、$、#、% 等)
ネットワーク設定
- [8) ネットワーク設定]を選択して、ネットワークアダプターのインデックス番号を入力する。
- [1) ネットワーク アダプター アドレスの設定]を選択して、IPアドレスを入力する。(ここでは、DHCPを選択する)
- [DHCPが有効]の値が[True]になっていることを確認して、[4) メイン メニューに戻る]を選択する。
Hyper-V Server 2019のファイアウォールの設定
リモート管理を行うには、Hyper-V Server 2019のファイアウォール設定で、必要な通信を許可する必要がある。
PowerShellを使用して、以下のコマンドを実行する。
- Sconfigのメイン画面で[15) Exit to Command Line (PowerShell)]を選択する。
- PowerShellプロンプトが表示される。
- 以下のコマンドを実行して、リモート管理に必要なファイアウォールルールを有効化する。
# リモートデスクトップを有効化 Enable-NetFirewallRule -DisplayGroup "Remote Desktop" # ファイルとプリンターの共有を有効化 Enable-NetFirewallRule -DisplayGroup "File and Printer Sharing" # Windows Management Instrumentation (WMI) を有効化 Enable-NetFirewallRule -DisplayGroup "Windows Management Instrumentation (WMI)" # リモートイベントログ管理を有効化 Enable-NetFirewallRule -DisplayGroup "Remote Event Log Management" # リモートサービス管理を有効化 Enable-NetFirewallRule -DisplayGroup "Remote Service Management" # リモートボリューム管理を有効化 Enable-NetFirewallRule -DisplayGroup "Remote Volume Management" # Hyper-V管理を有効化 Enable-NetFirewallRule -DisplayName "Hyper-V Management Clients - WMI (DCOM-In)"
- 上記のコマンド実行後、
exitコマンドを実行してSconfigのメイン画面に戻る。
Windows 10/11 ProがインストールされたクライアントPCのセットアップ
Hyper-V Server 2019をリモート管理するには、Windows 10/11 ProがインストールされたクライアントPCにリモートサーバ管理ツール (RSAT) をインストールする必要がある。
Windows 10でのRSATインストール
Windows 10 October 2018 Update (バージョン1809) 以降では、RSATは設定アプリから追加できる。
- [設定]アプリを開く。
- [アプリ] > [オプション機能] を選択する。
- [機能の追加]ボタンを押下する。
- 検索ボックスに[RSAT]と入力して検索する。
- 以下の機能を選択してインストールする。
- RSAT: サーバーマネージャー
- RSAT: Hyper-V管理ツール
- インストール完了後、再起動する。
Windows 11でのRSATインストール
Windows 11でも同様に、設定アプリから追加できる。
- [設定]アプリを開く。
- [アプリ] - [オプション機能] を選択する。
- [機能の表示]ボタンを押下する。
- 検索ボックスに[RSAT]と入力して検索する。
- 以下の機能を選択してインストールする。
- RSAT: サーバーマネージャー
- RSAT: Hyper-V管理ツール
- インストール完了後、再起動する。
信頼されたホストの追加
クライアントPCからHyper-V Serverに接続するには、信頼されたホストとして追加する必要がある。
- クライアントPCで管理者権限のPowerShellを起動する。
- 以下のコマンドを実行する。
# Hyper-V ServerのIPアドレスまたはホスト名を指定 Set-Item WSMan:\localhost\Client\TrustedHosts -Value "192.168.1.100" -Force # 複数のホストを追加する場合はカンマ区切りで指定 # Set-Item WSMan:\localhost\Client\TrustedHosts -Value "192.168.1.100,192.168.1.101" -Force # すべてのホストを信頼する場合 (セキュリティリスクがあるため推奨しない) # Set-Item WSMan:\localhost\Client\TrustedHosts -Value "*" -Force
- 設定を確認する。
Get-Item WSMan:\localhost\Client\TrustedHosts
サーバーマネージャーとHyper-Vマネージャーのセットアップ
クライアントPCから、サーバーマネージャーとHyper-VマネージャーでHyper-V Server 2019をリモート管理する。
サーバーマネージャーでの接続
- サーバーマネージャーを起動する。
- [管理] > [サーバーの追加]を選択する。
- [DNS]タブまたは[IP アドレス]タブでHyper-V Serverを検索する。
- Hyper-V Serverを選択して、[>]ボタンを押下して[選択済み]に追加する。
- [OK]ボタンを押下する。
- サーバーマネージャーの[すべてのサーバー]にHyper-V Serverが追加されたことを確認する。
Hyper-Vマネージャーでの接続
- Hyper-Vマネージャーを起動する。
- 左側のペインで[Hyper-Vマネージャー]を右クリックして、[サーバーに接続]を選択する。
- [別のコンピューター]を選択して、Hyper-V ServerのIPアドレスまたはホスト名を入力する。
- [OK]ボタンを押下する。
- Hyper-Vマネージャーの左側のペインにHyper-V Serverが追加される。
- Hyper-V Serverを選択すると、仮想マシンの一覧や管理操作が可能になる。
※注意
接続時に認証エラーが発生する場合は、信頼されたホストの設定を確認すること。
また、Hyper-V Server側のファイアウォール設定が正しく行われているか確認すること。
トラブルシューティング
Hyper-Vマネージャーで接続できない
Hyper-Vマネージャーで接続できない場合は、以下の点を確認する。
- 信頼されたホストの設定が正しいか確認する。
- Hyper-V Server側のファイアウォール設定が正しいか確認する。
- ネットワーク接続が正常か確認する。
- クライアントPCとHyper-V Serverで同じユーザーアカウントとパスワードを使用しているか確認する。
仮想マシンが起動しない
仮想マシンが起動しない場合は、以下の点を確認する。
- CPUがSLATに対応しているか確認する。
- BIOSまたはUEFIで仮想化サポートが有効化されているか確認する。
- メモリが十分に確保されているか確認する。
- 仮想ハードディスクが破損していないか確認する。
ネットワーク接続ができない
仮想マシンからネットワーク接続ができない場合は、以下の点を確認する。
- 仮想スイッチが正しく作成されているか確認する。
- 仮想マシンのネットワークアダプターが仮想スイッチに接続されているか確認する。
- ホスト側のネットワークアダプターが正常に動作しているか確認する。
- 仮想マシン内のネットワーク設定が正しいか確認する。
関連リンク
- Windows Server 上の Hyper-V - Microsoft Learn
- Windows および Windows Server での Hyper-V のシステム要件 - Microsoft Learn
- Windows でのリモート サーバー管理ツールのインストールと管理 - Microsoft Learn
- Hyper-V Server 2019 評価版ダウンロード - Microsoft
- Microsoft Hyper-V Server 2019 - Microsoft Lifecycle
- Windows Server 2019 の新機能 - Microsoft Learn