概要
ボルテージフォロワは、オペアンプの出力と反転入力端子を直接接続し、非反転入力端子に入力信号を加えることで、入力電圧と等しい出力電圧を得る回路構成である。
この回路は、100[%]の負帰還 (帰還率 β = 1) により、電圧利得が1倍 (0 [dB]) となる。
位相反転は発生せず、入力信号がそのまま出力される。
ボルテージフォロワの最大の特徴は、極めて高い入力インピーダンス (理想値は無限大、実際には数[MΩ]〜数百[GΩ]) と、極めて低い出力インピーダンス (理想値は0[Ω]、実際には数[Ω]〜数十[Ω]) を持つことである。
この特性により、インピーダンス変換器として機能し、高インピーダンス信号源から低インピーダンス負荷へ信号を伝達する際に、信号源に負担をかけずに駆動できる。
主な応用例を以下に示す。
- センサ回路のバッファ (ピエゾセンサ、pHセンサ)
- ADコンバータの前段回路
- アクティブフィルタの出力段
- オーディオ回路 (プリアンプ、ヘッドフォンアンプ)
- 精密電圧源の低インピーダンス化
別名
ボルテージフォロワは、用途や強調する特性により、様々な名称で呼ばれる。
代表的な別名を以下に示す。
- ユニティゲインバッファ (Unity Gain Buffer)
- 電圧利得が1倍 (0 [dB]) であることを強調する呼び方
- バッファアンプ (Buffer Amplifier)
- 信号のバッファリング機能を強調する呼び方
- インピーダンス変換器 (Impedance Converter)
- 高インピーダンスから低インピーダンスへの変換機能を強調する呼び方
- ボルテージバッファ (Voltage Buffer)
- 電圧バッファリングを表す汎用的な呼び方
- 電圧フォロワ
- 日本語での標準的な呼び方
これらの名称は、全て同一の回路構成を指す。
文脈に応じて適切な名称が使用される。
動作原理
回路構成
ボルテージフォロワは、以下の接続により構成される。
- 非反転入力端子 (+) に入力信号 Vin を接続
- 反転入力端子 (-) と出力 Vout を直接接続 (100[%]負帰還)
- 電源は正負電源または単電源
この構成により、出力電圧が反転入力端子に全て帰還されるため、帰還率 β = 1 となる。
理想オペアンプの仮定
ボルテージフォロワの動作を理解するには、理想オペアンプの2つの仮定が重要である。
- 仮定1 : イマジナリーショート (仮想短絡)
- オペアンプの開ループゲインが無限大に近いため、負帰還がかかった状態では、非反転入力端子 (+) と反転入力端子 (-) の電位差がほぼゼロになる。
- このため、V+ と V- がほぼ等しい電位になる。
- 仮定2 : 入力電流がゼロ
- オペアンプの入力インピーダンスが無限大であるため、2つの入力端子から流れ込む電流はほぼゼロである。
- このため、入力端子は信号源に電流を流さない。
これらの仮定により、ボルテージフォロワは理想的なバッファとして動作する。
ゲインの導出
ボルテージフォロワのゲインが1倍 (0 [dB]) になることを、オペアンプの基本式から導出する。
オペアンプの基本式は以下の通りである。
ここで、
- A
- オペアンプの開ループゲイン (通常、104〜106)
- V+
- 非反転入力端子の電圧
- V-
- 反転入力端子の電圧
- Vout
- 出力電圧
ボルテージフォロワの接続条件は以下の通りである。
これを基本式に代入すると、
開ループゲインAが無限大に近づくとき、
したがって、
ゲインは、1
この導出により、ボルテージフォロワのゲインが1倍であることが数学的に証明される。
非反転増幅回路との関係
ボルテージフォロワは、非反転増幅回路の特殊ケースとして理解できる。
非反転増幅回路のゲイン式は以下の通りである。
ここで、
- R1
- 反転入力端子とグランド間の抵抗
- R2
- 反転入力端子と出力間の抵抗 (フィードバック抵抗)
- Av
- 電圧利得
ボルテージフォロワは、フィードバック抵抗 R2 = 0 (直接接続) の特殊ケースである。
この時、帰還率 β = 1 となる。
非反転増幅回路の抵抗を以下のように変化させると、
- R2 = 0[Ω] の時
- ボルテージフォロワ (Av = 1)
- R2 > 0 の時
- 非反転増幅回路 (Av > 1)
このように、ボルテージフォロワは非反転増幅回路の最もシンプルな形態である。
ボルテージフォロワの特徴
入力インピーダンス
ボルテージフォロワの入力インピーダンスは、理想的には無限大である。
実際のオペアンプでは、以下の範囲の入力インピーダンスを持つ。
- バイポーラトランジスタ入力オペアンプ : 数[MΩ]〜数十[MΩ]
- 例: LM358 (約2 [MΩ])
- FET入力オペアンプ : 数百[MΩ]〜数百GΩ
- 例: TL072 (1[TΩ]以上、1[TΩ]近く)
この極めて高い入力インピーダンスにより、以下に示すメリットが得られる。
- 信号源に電流をほとんど流さない
- 高インピーダンスセンサからの信号を歪ませずに取得できる
- 分圧抵抗の出力電圧を変化させずに取得できる
高インピーダンスセンサの例を以下に示す。
- ピエゾセンサ (数[MΩ]〜数GΩ)
- pHセンサ (数百[MΩ])
- イオン選択電極 (数百[MΩ])
出力インピーダンス
ボルテージフォロワの出力インピーダンスは、理想的には0[Ω]である。
実際のオペアンプでは、以下の範囲の出力インピーダンスを持つ。
- 汎用オペアンプ: 数[Ω]〜数十[Ω]
- 高精度オペアンプ: 数[Ω]〜十数[Ω]
この極めて低い出力インピーダンスにより、以下に示すメリットが得られる。
- 負荷に大きな電流を流せる。
- 負荷インピーダンスの変化による出力電圧の変動が小さい。
- 複数の負荷に信号を分配できる。
出力インピーダンスが低いことにより、以下の回路を駆動できる。
- ADコンバータ (入力インピーダンス: 数[kΩ]〜数十[kΩ])
- ケーブル (容量性負荷)
- 後段の増幅回路
その他の特徴
ボルテージフォロワは、以下の特徴を持つ。
| 項目 | 特性・説明 |
|---|---|
| 電圧利得 |
|
| 位相シフト |
|
| 周波数帯域 |
|
これらの特徴により、ボルテージフォロワは信号の増幅を行わず、インピーダンス変換のみを行う理想的なバッファとして機能する。
代表的なオペアンプIC
ボルテージフォロワ回路で使用される代表的なオペアンプICを用途別に紹介する。
オペアンプICの特性比較
| オペアンプ | 項目 | 仕様・説明 |
|---|---|---|
| TL072/TL074 | 型式 | Dual/Quad FET入力オペアンプ |
| GB積 | 3 [MHz] | |
| 入力インピーダンス | 10¹²[Ω]以上 (1 [TΩ]近く) | |
| スルーレート | 13 [V/µs] | |
| 入力オフセット電圧 | ±3 [mV] | |
| 入力バイアス電流 | ±30 [pA] | |
| 用途 | オーディオ応用、低ノイズが必要な回路、高インピーダンスセンサのバッファ | |
| LM358/LM324 | 型式 | Dual/Quad バイポーラ入力オペアンプ |
| GB積 | 1 [MHz] | |
| 入力インピーダンス | 約2 [MΩ] | |
| スルーレート | 0.5 [V/µs] | |
| 入力オフセット電圧 | ±5 [mV] | |
| 入力バイアス電流 | ±50 [nA] | |
| 電源電圧 | 3[V]〜32[V] (単電源動作可能) | |
| 用途 | 低コスト汎用応用、単電源回路、センサ信号の取得 |
| オペアンプ | 項目 | 仕様・説明 |
|---|---|---|
| OP07 | GB積 | 0.6 [MHz] |
| 入力オフセット電圧 | ±75 [µV] (OP07E) | |
| オフセット電圧ドリフト | ±2 [µV/℃] | |
| 入力バイアス電流 | ±4 [nA] | |
| 用途 | 精密計測、データ取得、DC信号の増幅 | |
| OPA277 | GB積 | 10 [MHz] |
| 入力オフセット電圧 | ±10 [µV] | |
| オフセット電圧ドリフト | ±0.1 [µV/℃] | |
| 入力バイアス電流 | ±10 [nA] | |
| 用途 | 高精度データ取得、計測器、精密電圧源のバッファ |
| オペアンプ | 項目 | 仕様・説明 |
|---|---|---|
| OPA627 | GB積 | 16 [MHz] |
| スルーレート | 55 [V/µs] | |
| 入力オフセット電圧 | ±0.8 [mV] | |
| 入力バイアス電流 | ±30 [pA] | |
| THD+N (全高調波歪み+ノイズ) | 0.00003[%] | |
| 用途 | 高精度オーディオ、精密計測、高速信号処理 | |
| AD8065 | GB積 | 145 [MHz] |
| スルーレート | 180 [V/µs] | |
| 入力オフセット電圧 | ±1.5 [mV] | |
| 入力バイアス電流 | ±0.6 [fA] | |
| 用途 | 高速信号処理、RF応用、ビデオ信号の増幅 |
オペアンプICの比較表
代表的なオペアンプICのスペックを以下の表に示す。
| IC名 | GB積 | スルーレート | 入力オフセット | 用途 |
|---|---|---|---|---|
| TL072/TL074 | 3 [MHz] | 13 [V/µs] | ±3 [mV] | オーディオ、汎用 |
| LM358/LM324 | 1 [MHz] | 0.5 [V/µs] | ±5 [mV] | 単電源、低コスト |
| OP07 | 0.6 [MHz] | 0.3 [V/µs] | ±75 [µV] | 精密計測 (DC) |
| OPA277 | 10 [MHz] | 0.8 [V/µs] | ±10 [µV] | 高精度計測 |
| OPA627 | 16 [MHz] | 55 [V/µs] | ±0.8 [mV] | 高精度オーディオ |
| AD8065 | 145 [MHz] | 180 [V/µs] | ±1.5 [mV] | 高速信号処理 |
オペアンプの選択は、以下の要件により決定される。
- 周波数帯域 (GB積)
- 精度 (入力オフセット電圧、温度ドリフト)
- 速度 (スルーレート)
- コスト
- 電源電圧 (単電源または正負電源)
インピーダンス変換が必要な場面
ボルテージフォロワのインピーダンス変換機能が必要となる代表的な場面を以下に示す。
高インピーダンスセンサからの信号取得
高インピーダンスセンサは、出力インピーダンスが数[MΩ]〜数[GΩ]と極めて高い。
このようなセンサに低インピーダンスの負荷を直接接続すると、電圧降下により信号が歪む。
高インピーダンスセンサの例を以下に示す。
- ピエゾセンサ (圧力、振動の検出)
- 出力インピーダンス: 数[MΩ]〜数GΩ
- pHセンサ (イオン選択電極)
- 出力インピーダンス: 数百[MΩ]
- 高インピーダンス温度センサ
- 出力インピーダンス: 数[MΩ]
ボルテージフォロワをセンサの出力に接続することにより、センサに電流をほとんど流さずに信号を取得できる。
計測回路における信号の取得
精密計測回路では、分圧抵抗やブリッジ回路から信号を取得する。
これらの回路は高インピーダンスであるため、直接ADコンバータに接続すると、ADコンバータの入力電流により電圧降下が発生し、測定誤差が生じる。
ボルテージフォロワを挿入することにより、以下に示すメリットが得られる。
- 分圧抵抗の出力電圧を変化させずに取得
- ブリッジ回路の平衡を崩さずに信号を取得
- ADコンバータの入力電流による測定誤差を最小化
ケーブル駆動
長いケーブルは容量性負荷として作用し、信号の高周波成分を減衰させる。
ボルテージフォロワの低い出力インピーダンスにより、ケーブルの容量性負荷を駆動できる。
これにより、以下に示すメリットが得られる。
- 長距離伝送時の信号劣化を抑制
- 高周波信号の減衰を最小化
- 信号の立ち上がり時間を維持
複数の負荷への信号分配
1つの信号源から複数の負荷に信号を分配する場合、ボルテージフォロワを使用することにより、各負荷が信号源に与える影響を最小化できる。
これにより、以下に示すメリットが得られる。
- 負荷の追加や削除が他の負荷に影響しない
- 各負荷に安定した電圧を供給
- 信号源の過負荷を防止
応用例
ボルテージフォロワの代表的な応用例を以下に示す。
センサ回路のバッファ
高インピーダンスセンサの出力をボルテージフォロワでバッファリングする。
ピエゾセンサのバッファ
- ピエゾセンサの出力インピーダンスは数[MΩ]〜数GΩと極めて高い
- ボルテージフォロワをセンサの直後に配置し、低インピーダンス化
- 後段の増幅回路やADコンバータに信号を伝達
pHセンサのバッファ
- pHセンサ (イオン選択電極) の出力インピーダンスは数百[MΩ]
- FET入力オペアンプ (TL072など) を使用したボルテージフォロワで信号を取得
- 低インピーダンス化した信号を増幅回路に送る
ADコンバータの前段
ADコンバータの前段にボルテージフォロワを配置することにより、以下に示すメリットが得られる。
- 高インピーダンス信号を低インピーダンス信号に変換
- ADコンバータの入力電流による電圧降下を防止
- 測定精度の向上
特に、サンプリング時にADコンバータの内部容量が瞬間的に充電されるため、信号源に瞬間的な電流が流れる。
ボルテージフォロワがこの電流を供給することにより、信号源への影響を最小化できる。
アクティブフィルタの出力段
アクティブフィルタ (ローパスフィルタ、ハイパスフィルタ、バンドパスフィルタ) の出力段にボルテージフォロワを配置する。
これにより、以下に示すメリットが得られる。
- フィルタ回路の出力インピーダンスを低減
- 後段の負荷によるフィルタ特性の変化を防止
- 積分回路やフィルタ出力の安定化
オーディオ回路
オーディオ回路では、信号の劣化を防ぐためにボルテージフォロワが使用される。
プリアンプ
- マイクロフォンやギターピックアップの高インピーダンス信号をバッファリング
- 低インピーダンス化した信号をメインアンプに送る
ヘッドフォンアンプ
- DAC (Digital-to-Analog Converter) の出力をバッファリング
- ヘッドフォンを駆動するための電流を供給
精密電圧源
分圧抵抗や基準電圧源の出力をボルテージフォロワでバッファリングする。
これにより、以下に示すメリットが得られる。
- 負荷電流による電圧降下を防止
- 基準電圧の安定化
- 複数の回路に基準電圧を供給
設計時の注意点
発振対策
ボルテージフォロワは、100[%]の負帰還 (帰還率 β = 1) のため、発振しやすい回路構成である。
発振の原因
- 100[%]の負帰還により、わずかな位相遅れでも不安定になりやすい。
- オペアンプに複数のポール (周波数特性の折れ点) がある場合、高周波で合計180°の位相遅れに達する可能性がある。
- 容量性負荷 (ケーブルの容量など) によるローパスフィルタ効果により、位相遅れが発生
対策1: ユニティゲイン対応オペアンプの選択
- データシートに "Unity-Gain Stable" または "Stable at Gain = 1" と明記されたオペアンプを選択
- これらのオペアンプは、ゲイン1でも安定動作するように内部補償されている。
対策2: 出力のRC補償
- オペアンプの出力端子と負荷の間に小さな抵抗 (数十Ω〜数百Ω) を挿入
- この抵抗により、容量性負荷によるポールが高周波側に移動し、位相余裕が確保される。
対策3: フィードバックパスの補償
- 反転入力端子とグランド間に小容量のコンデンサ (数pF〜数十pF) を接続
- 高周波での利得を低下させ、発振を抑制
容量性負荷への対応
容量性負荷は、オペアンプの出力インピーダンスと組み合わさってローパスフィルタを形成し、位相遅れを引き起こす。
容量性負荷の例を以下に示す。
- 長いケーブル (数pF/m〜数十pF/m)
- 後段回路の入力容量
- プリント基板のパターン容量
RC補償の手順
- オペアンプの出力端子に抵抗 Rout (数十[Ω]〜数百[Ω]) を直列に挿入する。
- 抵抗 Rout と容量性負荷 Cload により形成されるポール周波数が、オペアンプのGB積より十分高くなるように設定する。
- ポール周波数の計算式を以下に示す。
- この周波数がGB積の10倍以上になるように Rout を選択する。
非理想特性の影響
実際のオペアンプは、理想オペアンプとは異なる非理想特性を持つ。
これらの特性がボルテージフォロワの性能に影響する。
スルーレートの制限
- スルーレートは、オペアンプの出力電圧が変化できる最大速度 (V/µs) を表す
- 急峻な入力信号に対して、出力が追従できず、波形が歪む
- 対策: 高速オペアンプ (高スルーレート) を選択
入力オフセット電圧
- 入力端子間の電圧差がゼロでも、出力に微小な電圧が現れる
- ボルテージフォロワでは、このオフセット電圧がそのまま出力に現れる (増幅されない)
- 対策: 高精度オペアンプ (低オフセット電圧) を選択、またはトリミング
入力バイアス電流
- オペアンプの入力端子に流れ込む微小な電流
- 高インピーダンス回路では、この電流による電圧降下が誤差になる
- 対策: FET入力オペアンプ (低バイアス電流) を選択
GB積の制限
- ゲインが1倍のため、ボルテージフォロワの帯域幅はGB積とほぼ等しい。
- 例
- GB積が1 [MHz]のオペアンプでは、約1 [MHz]までの信号にしか対応できない。
- 対策
- 高GB積のオペアンプを選択する。
トランジスタによるボルテージフォロワ
オペアンプ以外に、トランジスタを使用したボルテージフォロワも存在する。
これらは、よりシンプルな回路構成で実現できるが、性能面ではオペアンプ版に劣る。
エミッタフォロワ
エミッタフォロワは、バイポーラトランジスタを使用したボルテージフォロワである。
回路構成
- ベース (B) に入力信号を接続
- コレクタ (C) を電源 VCC に接続
- エミッタ (E) を出力として取り出す
- エミッタとグランド間に負荷抵抗またはプルダウン抵抗を接続
動作原理
- ベース-エミッタ間電圧 Vbe は約0.6V (シリコントランジスタ) で一定
- 入力電圧が変化すると、エミッタ電圧も追従して変化
- Vout = Vin - Vbe
特徴
- 入力インピーダンス: 数kΩ〜数十kΩ (オペアンプ版より低い)
- 出力インピーダンス: 比較的低い
- ゲイン: ほぼ1倍 (厳密には1未満)
- 電圧ドロップ: Vbe (約0.6V) の電圧降下が発生
制限事項
- Vbeドロップにより、出力電圧が入力電圧より約0.6V低くなる
- 入力バイアス電流が比較的大きい (数十nA)
- 精度はオペアンプ版より劣る (1[%]程度)
用途
- 低コスト、シンプルな回路
- 高速応答が必要な回路
- 単電源動作
ソースフォロワ
ソースフォロワは、MOSFET (Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor) を使用したボルテージフォロワである。
回路構成
- ゲート (G) に入力信号を接続
- ドレイン (D) を電源 VDD に接続
- ソース (S) を出力として取り出す
- ソースとグランド間に負荷抵抗またはプルダウン抵抗を接続
動作原理
- ゲート-ソース間電圧 Vgs により、ドレイン-ソース間電流が制御される。
- 入力電圧が変化すると、ソース電圧も追従して変化する。
特徴
- 入力インピーダンス
- 極めて高い。(1[TΩ]以上)
- 出力インピーダンス
- 低い
- ゲイン
- ほぼ1倍 (厳密には1未満)
- 電圧ドロップ
- Vgs (約1〜2 [V]) の電圧降下が発生
- バイアス電流
- ほぼゼロ (リーク電流のみ、[fA]オーダー)
制限事項
- Vgsドロップにより、出力電圧が入力電圧より約1〜2[V]低くなる。
- 精度はオペアンプ版より劣る。(1[%]程度)
用途
- 高インピーダンスバッファ
- 高速応答が必要な回路
- 低ノイズ回路
3つの実装方式の比較
オペアンプ版、エミッタフォロワ、ソースフォロワの特性を以下の表に示す。
| 特性 | オペアンプ版 | エミッタフォロワ | ソースフォロワ |
|---|---|---|---|
| 入力インピーダンス | 1[TΩ] (FET型) | 数kΩ〜数十kΩ | 1[TΩ]以上 |
| 出力インピーダンス | 数[Ω]〜数十[Ω] | 数十[Ω]〜数百[Ω] | 数十[Ω]〜数百[Ω] |
| 電圧ドロップ | 0[V] | Vbe (約0.6[V]) | Vgs (約1〜2[V]) |
| 精度 | 0.1[%]以下可能 | 1[%]程度 | 1[%]程度 |
| バイアス電流 | fA〜pA | nA (数10[nA]) | fA (リークのみ) |
| 回路の複雑さ | 中程度 | シンプル | シンプル |
| コスト | 中〜高 | 低 | 低〜中 |
| 用途 | 精密バッファ | 高速、低コスト | 高インピーダンス |
オペアンプ版は、最も高精度で電圧ドロップがないため、精密計測や高性能バッファに適している。
エミッタフォロワとソースフォロワは、シンプルで低コストだが、電圧ドロップが発生するため、精度が要求される用途には適さない。
参考文献
- Texas Instruments - TL072 データシート
- Texas Instruments - LM358 データシート
- Texas Instruments - OPA277 データシート
- Texas Instruments - OPA627 データシート
- Analog Devices - OP07 データシート
- Analog Devices - AD8065 データシート