「ロピタルの定理」の版間の差分
提供: MochiuWiki : SUSE, EC, PCB
ページの作成:「== 概要 == ロピタルの定理は、ある値 <math>c</math>の区間 <math>(- \infty \leqq c \leqq \infty)</math> を含むある区間Iがあり、関数<math>f, \, g</math> はその内部で微分可能で、<br> <math>\lim{x \to c} f(x) = \lim{x \to c} g(x)</math> かつその値が <math>0</math> または <math>\pm \infty</math> であり、<br> かつ、極限 <math>\lim {x \to c} {\frac{f'(x)}{g'(x)}}</math> が存在し、<br> かつ、区間Iにおけ…」 |
|||
| 6行目: | 6行目: | ||
<br> | <br> | ||
つまり、分子と分母を微分することにより、不定形の分数を単純化あるいは非不定形に変換して、分数の極限値を簡単に計算できる可能性がある。<br> | つまり、分子と分母を微分することにより、不定形の分数を単純化あるいは非不定形に変換して、分数の極限値を簡単に計算できる可能性がある。<br> | ||
<br><br> | |||
== ロピタルの定理 == | |||
ロピタルの定理は、以下に示す2つの条件が前提となっている。<br> | |||
* <math>\lim_{x \to a} \dfrac{\dfrac{df(x)}{dx}}{\dfrac{dg(x)}{dx}}</math> が存在すること。 | |||
* <math>x</math> の収束先(極限の近くで)が実数である場合、<math>\frac{dg(x)}{dx} \ne 0</math> となること。 | |||
<br> | |||
定理 : | |||
aを実数とする。 | |||
aの周辺(つまり、ある <math>\gamma > 0</math> が存在して、<math>a - \gamma < x < a, \quad a < x < a + \gamma</math> )において、<math>f(x)</math> と <math>g(x)</math> は微分可能とする。 | |||
また、<math>\lim_{x \to a} f(x) = \lim_{x \to a} g(x) = 0</math> とする。 | |||
この時、<math>\lim_{x \to a} \dfrac{\dfrac{df(x)}{dx}}{\dfrac{dg(x)}{dx}}</math> が存在(実数に収束)し、 | |||
かつ、<math>\frac{dg(x)}{dx} \ne 0 \quad (a - \gamma < x < a,, a < x < a + \gamma)</math> ならば、 | |||
<math>\lim_{x \to a} \frac{f(x)}{g(x)} = \lim_{x \to a} \dfrac{\dfrac{df(x)}{dx}}{\dfrac{dg(x)}{dx}}</math> | |||
<br> | |||
ロピタルの定理は、極限の計算のために微分を使用するが、微分の計算には極限の計算が必要である。<br> | |||
そのため、循環論法に陥ることがある。<br> | |||
<br> | |||
例えば、<math>\sin{x}</math> の微分を用いて <math>\lim_{x \to 0} \frac{\sin{x}}{x}</math> を計算する場合、<br> | |||
<math>\sin{x}</math> の微分の計算には <math>\lim_{x \to 0} \frac{\sin{x}}{x}</math> が必要となる。<br> | |||
<br> | |||
このような問題点もあるので、ロピタルの定理は値の確認用として使用することを推奨する。<vr> | |||
<br><br> | |||
== ロピタルの定理が使用できる場合 == | |||
例題1 : | |||
<math>\lim_{x \to 0} \frac{\sin{x}}{x}</math> | |||
解答 : | |||
<math>\lim_{x \to 0} \frac{\sin{x}}{x} = \lim_{x \to 0} \frac{\cos{x}}{1} = 1</math> | |||
<br> | |||
例題2 : | |||
<math>\lim_{x \to 0} \frac{x - \sin{x}}{x^{3}}</math> | |||
解答 : | |||
<math> | |||
\begin{align} | |||
\lim_{x \to 0} \frac{x - \sin{x}}{x^{3}} &= \lim_{x \to 0} \frac{1 - \cos{x}}{3x^{2}} \\ | |||
&= \lim_{x \to 0} \frac{\sin{x}}{6x} \\ | |||
&= \lim_{x \to 0} \frac{\cos{x}}{6} \\ | |||
&= \frac{1}{6} | |||
\end{align} | |||
</math> | |||
<br> | |||
例題3 : | |||
<math>\lim_{x \to 1} \frac{\log(x)}{x - 1}</math> | |||
解答 : | |||
<math>\lim_{x \to 1} \frac{\log(x)}{x - 1} = \frac{1}{x} = 1</math> | |||
<br> | |||
例題4 : | |||
<math>\lim_{x \to \infty} \frac{x^{2}}{e^{x}}</math> | |||
解答 : | |||
<math> | |||
\begin{align} | |||
\lim_{x \to \infty} \frac{x^{2}}{e^{x}} &= \lim_{x \to \infty} \frac{2x}{e^{x}} \\ | |||
&= \lim_{x \to \infty} \frac{2}{e^{x}} \\ | |||
&= 2 | |||
\end{align} | |||
</math> | |||
<br><br> | |||
== ロピタルの定理が使用できない場合 == | |||
上記の2つの条件が成立していない場合は、ロピタルの定理は使用できない。<br> | |||
以下の例では、<math>\lim_{x \to a} \dfrac{\dfrac{df(x)}{dx}}{\dfrac{dg(x)}{dx}}</math> が存在するという条件が満たされない場合である。<br> | |||
<br> | |||
<math>M = \lim_{x \to \infty} \frac{x - \cos{x}}{x}</math> | |||
<br> | |||
上記の例は、<math>\frac{\infty}{\infty}</math> の不定形なのため、ロピタルの定理を使用すると、<math>\lim{x \to \infty} \frac{1 + \sin{x}}{1}</math> となり振動する。<br> | |||
<br> | |||
この場合、はさみうちの原理を用いると <math>M = 1</math> であることがわかる。<br> | |||
<br><br> | <br><br> | ||
2023年12月3日 (日) 04:20時点における版
概要
ロピタルの定理は、ある値 の区間 を含むある区間Iがあり、関数 はその内部で微分可能で、
かつその値が または であり、
かつ、極限 が存在し、
かつ、区間Iにおける の除外近傍において、 が成り立つならば、 であることを主張する。
つまり、分子と分母を微分することにより、不定形の分数を単純化あるいは非不定形に変換して、分数の極限値を簡単に計算できる可能性がある。
ロピタルの定理
ロピタルの定理は、以下に示す2つの条件が前提となっている。
- が存在すること。
- の収束先(極限の近くで)が実数である場合、 となること。
定理 : aを実数とする。 aの周辺(つまり、ある が存在して、 )において、 と は微分可能とする。 また、 とする。 この時、 が存在(実数に収束)し、 かつ、 ならば、
ロピタルの定理は、極限の計算のために微分を使用するが、微分の計算には極限の計算が必要である。
そのため、循環論法に陥ることがある。
例えば、 の微分を用いて を計算する場合、
の微分の計算には が必要となる。
このような問題点もあるので、ロピタルの定理は値の確認用として使用することを推奨する。<vr>
ロピタルの定理が使用できる場合
例題1 : 解答 :
例題2 : 解答 :
例題3 : 解答 :
例題4 : 解答 :
ロピタルの定理が使用できない場合
上記の2つの条件が成立していない場合は、ロピタルの定理は使用できない。
以下の例では、 が存在するという条件が満たされない場合である。
上記の例は、 の不定形なのため、ロピタルの定理を使用すると、 となり振動する。
この場合、はさみうちの原理を用いると であることがわかる。