「応用数学 - 1階常微分方程式」の版間の差分

提供: MochiuWiki : SUSE, EC, PCB

Wiki がページ「常微分方程式 - 1階常微分方程式」を「応用数学 - 1階常微分方程式」に、リダイレクトを残さずに移動しました
(相違点なし)

2023年9月2日 (土) 05:26時点における版

概要

1階常微分方程式としては、以下のようなものがある。
これらは方程式の形により分類される。

  • 変数分離形微分方程式
  • 同次形微分方程式
  • 1階線形微分方程式
  • ベルヌーイ形微分方程式
  • 完全微分方程式



dydxの扱い

以下の命題は、dydx は、形式的に分数のように扱うことができることを示している。

命題1.
(g(y)dydx)dx=g(y)dy

証明.
y=ϕ(x) とおいて、両辺をxで微分すると、dydx=dϕdx
置換積分の公式より、g(y)dy=g(ϕ(x))dϕdxdx
y=ϕ(x) より、
g(ϕ(x))dϕdxdx=(g(y)dydx)dx


命題2.
g(y)dy=f(x)dxg(y)dy=f(x)dx

証明.
g(y)dy=f(x)dx の両辺をdxで除算して、本来の記号 dydx に戻すと次式となる。
g(y)dydx=f(x)

両辺をxで積分すると次式となる。
g(y)(dydx)dx=f(x)dx

左辺に対して命題1を適用すると次式となる。
g(y)dy=f(x)dx


命題3.
f(x)dx+g(y)dy=0f(x)dx+g(y)dy=C( C : 任 意 の 定 数 )

証明.
f(x)dx+g(y)dy=0 の両辺をdxで除算して、本来の記号dydx に戻すと次式となる。
f(x)+g(y)(dydx)=0

この両辺をxで積分すると次式となる。
f(x)+g(y)(dydx)dx=0f(x)dx+g(y)(dydx)dx=C

左辺第2項に命題1を適用して整理する。
f(x)dx+g(y)dy=C( C : 任 意 の 定 数 )



変数分離形微分方程式

f(x)をxのみの関数、g(y)をyのみの関数とする時、以下に示す形になる微分方程式を変数分離形という。
g(y)dydx=f(x)

変数分離系の方程式は、以下のように記述することもある。

  • g(y)dy=f(x)dx
  • f(x)dxg(y)dy=0
  • dydx=f(x)h(y)h(y)=1g(y)


  • 変数分離形の例
    dydx=2xy
    dydx=(x2+1)(y+1y)

  • 変数分離形ではない例
    dydx=2x+3y
    dydx=xy


例題1. 
微分方程式の一般解を求めよ。
dydx=x

解答.
dy=xdxdy=xdxy=12x2+C( C : 任 意 の 定 数 )


例題2.
微分方程式の一般解を求めよ。
dydx=y

解答.
1ydy=dx1ydy=dxln|y|=x+C( C : 任 意 の 定 数 )|y|=ex+Cy=±eCexy=Cex( C : 任 意 の 定 数 )


例題3.
微分方程式の一般解を求めよ。
ydy=xdx

解答.
ydy=xdx12y2=12x2+C( C : 任 意 の 定 数 )y2=x2+2Cy2=x2+C( C : 任 意 の 定 数 )


例題4.
微分方程式の一般解を求めよ。
xdx(1+x2)dy=0

解答.
dy=x1+x2 とおく。
dy=x1+x2dxy=122x1+x2y=12ln(1+x2)+C( C : 任 意 の 定 数 )



同次形微分方程式

同次形微分方程式とは

dydxyx のみの関数になっている微分方程式を、同次形微分方程式という。
dydx=f(yx)

同次形微分方程式は、変数変換することにより、変数分離形として記述できる。

変数分離形として記述できることの説明

u=yx とおけば、y=ux より、積の微分公式を使用して、dydx=dudxx+u となる。
これを、dydx=f(yx) に代入すると、u+dudxx=f(u) となる。
したがって、dudx=f(u)ux

これは未知関数uの変数分離形である。


同次形微分方程式の例

  • dydx=yx+1
  • dydx=2(yx)3+yx
  • dydx=(x+y)(xy) 分母分子をxで除算すると、dydx=1+yx1yx と記述できるため、同次形微分方程式である。


同次形微分方程式の例題

例題1.
微分方程式の一般解を求めよ。
dydx=yx+1

解答.
yx=u とおくと、y=ux
積の微分公式より、dydx=dudxx+u

これを微分方程式に代入すると、u+dudxx=u+1 となり、各項を計算すると、dudxx=1 となる。
したがって、dudx=1x であるため、変数分離形となる。

この両辺をxで積分すると、
dudxdx=1xdxdu=1xdxu=ln|x|+C

u=yx であるので、これを上式に代入すると、次式となる。
yx=ln|x|+C

したがって、一般解は、
y=x(ln(|x|)+C)( C : 任 意 定 数 )


例題2.
次の微分方程式の一般解を求めよ。
dydx=x+yxy

解答.
dydx=x+yxy は、次のように記述できるため、同次形微分方程式である。
dydx=1+yx1yx(1)

ここで、u=yx(2) すなわち y=xu とおくと、
dydx=u+xdudx(3)

上式(2)(3)を上式(1)へ代入すると、
u+xdudx=1+u1u

したがって、dudx=1x1+u21u(4)
これは変数分離形である。

上式84)を変数分離して積分すると、次式となる。
1u1+u2du=1xdx
{11+u2122u1+u2}du=1xdx
したがって、tan1(u)12ln(1+u2)=lnx+C

ここで、u=yx を代入してx, yの式に戻す。
tan1(yx)12ln(1+y2x2)=lnx+C

ここで、12ln(1+y2x2) は、対数の法則により、
12ln(1+y2x2)
=12ln(x2+y2x2)
=12{ln(x2+y2)lnx2}
=12{ln(x2+y2)2lnx}
=12ln(x2+y2)lnx

ゆえに、一般解は次式となる。
tan1(yx)12ln(x2+y2)+lnx=lnx+Ctan1(yx)12ln(x2+y2)=C( C : 任 意 の 定 数 )



1階線形微分方程式

1階線形微分方程式とは

f(x),g(x) をxのみの関数とする時、以下の形の微分方程式を、1階線形微分方程式(first-order linear differential equation)という。

dydx+f(x)y=g(x)(1)


上式(1)の中で、g(x)=0 の以下の方程式を同次方程式(homogeneous equation)という。

dydx+f(x)y=0(2)


上式(1)の中で、g(x)0 の場合の方程式を非同次方程式(inhomogeneous equation)という。

同次方程式は、変数分離形の方程式となる。

理由.
dydx+f(x)y=0( 同 次 方 程 式 ) を記述し直すと、
1ydydx=f(x)(y0) となり、左辺はyのみの関数、右辺はxのみの関数となる。


• まとめ:

  • 同次方程式(変数分離形)
    dydx+f(x)y=0
  • 非同次方程式
    dydx+f(x)y=g(x)(g(x)0)


1階線形微分方程式の例

  • dydx+y=x
  • dydx+3x2y=5x2
  • dydx+yx=sinx


1階線形微分方程式ではない例

  • yn(n2) の項があるものは、非線形である。
例. dydx+2xy=2xy4 (ベルヌーイ形の微分方程式)


1階線形微分方程式の一般解

定理
1階線形微分方程式 dydx+f(x)y=g(x) の一般解は、以下の公式で表される。
y=1h(x){g(x)h(x)dx+C}( C : 任 意 の 定 数 ) 

ここで、h(x)=ef(x)dx
f(x)dxf(x) の原始関数の1つ

上式にある h(x) を積分因子(integrating factor)という。


1階線形微分方程式の一般解の証明

1階線形微分方程式 dydx+f(x)y=g(x)(1) の両辺に h(x)=ef(x)dx(2)を乗算すると、次式が得られる。
(dydx+f(x)y)h(x)=g(x)h(x)dydxh(x)+y(f(x)h(x))=g(x)h(x)(3)

ここで、f(x)h(x)=dh(x)dx である。
なぜなら、上式(2)において、u=f(x)dx とおくと、h(x)=eu であるので、合成関数の微分公式より、次式が得られるからである。
dh(x)dx=deudxdudx=euddx{f(x)dx}=f(x)eu=f(x)h(x)

したがって、f(x)h(x)=dh(x)dx を考慮して、上式(3)の左辺を記述し直すと、dydxh(x)+ydh(x)dx=g(x)h(x)
さらに、積の微分公式より、ddx(yh(x))=g(x)h(x)(4) となる。

上式(4)の両辺をxで積分すると、次式が得られる。
yh(x)=g(x)h(x)dx+C

したがって、一般解は次式で表される。
y=1h(x){g(x)h(x)dx+C}( C : 任 意 の 定 数 )
QED.

1階線形微分方程式の例題

例題1. 1階線形微分方程式の一般解を求めよ。
xdydx+y=2x

解答.
両辺をxで割ると、dydx+yx=2 より、
f(x)=1x,g(x)=2 となる。

積分因子 h(x) を求める。
h(x)=ef(x)dx=e1xdx=eln(|x|)=|x|(2)

上記の式を y=1h(x){g(x)h(x)dx+C} に代入すると、
y=1|x|{2|x|dx+C}

ここで、|x|=±x より、
y=1±x{2(±)xdx+C}=1x{2xdx+C}=1x(x2+C)=x+Cx

ゆえに、一般解は次式となる。
y=x+Cx( C : 任 意 の 定 数 )


例題2.
次の微分方程式の一般解を求めよ。
dydx+3x2y=5x2

解答.
f(x)=3x2,g(x)=5x2 として、1階線形微分方程式の一般解の公式に代入する。

この時、z=3x2,w=x3 とする。
y=ezdx{5x2ezdxdx+C}=ew{5x2ewdx+C}

53ew をxで微分すると、合成関数の微分公式より、
ddx(53ew)=ddw(53ew)dwdx=53ewddxx3=53ew3x2=5x2ew

よって、 5x2ewdx=53ew が成立する。
したがって、y=ew{53ew+C}=Cew+53

一般解は次式となる。
y=Cex3+53( C : 任 意 の 定 数 )w=x3


例題3.
次の微分方程式の一般解を求めよ。
dydxyx=2lnx

解答.
dydxyx=2lnx は、1階線形微分方程式である。

1階線形微分方程式の一般解の公式を適用する。
y=e1xdx{2e1xdxlnx+C}=elnx{2elnx1xdx+C}=x{2lnx1xdx+C}elnx=x

合成関数の微分公式より、以下の式が成立する。
ddx(lnx)2=2lnxddxlnx=2lnx1x

したがって、一般解は以下となる。
y=x(lnx)2+C( C : 任 意 の 定 数 )



ベルヌーイ形微分方程式

ベルヌーイ形微分方程式とは

f(x),g(x) をxのみの関数とする時、以下の形の微分方程式を、ベルヌーイ(Bernoulli)形微分方程式という。

dydx+f(x)y=g(x)yk(k0,1)(1)


ベルヌーイ形方程式は、u=y1k とおくことにより、1階線形微分方程式に記述することができる。
上式(1)において、k=0,k=1の場合は、それぞれ、変数分離形微分方程式、1階線形微分方程式になる。(そのため、kの条件 k0,1 で排除している)

ベルヌーイ形微分方程式の例.
ある値域(人口N人)のファッションの伝搬速度は、ファッションに参加している人数yと未参加者N - yの両方に比例すると考えられる。
dydx=ky(Ny) (ロジスティック方程式)

この方程式を書き直すと以下のベルヌーイ形になる。
dydxkNy=ky2 (ベルヌーイ形)


ベルヌーイ形微分方程式の1階線形微分方程式への変換

dydx+f(x)y=g(x)yk(k0,1)(1) において、y0の場合を考える。( y=0 は、式(1)の解の1つである)

右辺からyを消すため、両辺を yk で除算すると、
ykdydx+f(x)y1k=g(x)(2)

ここで、ddx(y1k)=(1k)ykdydx という事実に着目して、上式(2)の両辺に 1k を乗算すると、
(1k)ykdydx+(1k)f(x)y1k=(1k)g(x)

ここで、u=y1k,dudx=(1k)ykdydx とおき、未知関数をyからuへ変換する。
この時、未知関数uの1階線形微分方程式となる。
dudx+(1k)f(x)u=(1k)g(x)

ベルヌーイ形微分方程式の例題

例題1.
次の微分方程式の一般解を求めよ。
dydx+2xy=2xy4

解答.
dydx+2xy=2xy4 の両辺を y4 で除算して、14=3 を乗算する。
3y4dydx6xy3=6x

ここで、u=y3 とおくと、dudx=3y4dydx となるため、
dudx6xu=6x となり、未知関数uに関する1階線形微分方程式である。

1階線形微分方程式の公式を使用する。
積分因子 : h(x)=e6xdx
u=e6xdx{6xe6xdxdx+C}=e3x2{6xe3x2dx+C}=ez{6xezdx+C}(z=3x2)=ez(ez+C)=1+Cez

ゆえに、y3=11+Ce3x2( C : 任 意 の 定 数 )
y=0 となる解は、C=+ の場合に対応する。


例題2.
次の微分方程式の一般解を求めよ。
dydx+ysinx=y2sinx

解答.
これはベルヌーイ形微分方程式である。

与式の両辺に、y2 を乗算すると、
y2dydxy1sinx=sinx(1)

この時、u=y1 とおくと、dudx=y2dydx(2) である。
上式(2)を上式(1)へ代入する。
dudxusinx=sinx

これは、1階線形微分方程式となるので、1階線形微分方程式の一般解の公式を適用する。
u=esinxdx{sinxesinxdxdx+C}=ecosx{sinxecosxdx+C}=ecosx(ecosx+C)=1+Cecosx

u=y1 であるため、一般解は以下となる。
y=u1=11+Cecosx( C : 任 意 の 定 数 ) 


例題3.
次下の微分方程式の一般解を求めよ。
dydx+2x1y=7x2y43

解答.
与式は、ベルヌーイ形微分方程式である。
両辺に、13y43 を乗算すると、
13y43dydx23xy13=73x2

u=y13 とおく時、dudx23xu=73x2
これは1階線形微分方程式であるため、1階線形微分方程式の一般解の公式を適用すると、
u=e23xdx{73x2e23xdxdx+C}=x23(x73+C)e23lnx==x23=x3+Cx23

したがって、一般解は以下となる。
y13=x3+Cx23 ( C : 任 意 の 定 数 ) 



完全微分方程式

完全微分方程式とは

x, yを変数とする以下の微分方程式を考える。

f(x,y)dx+g(x,y)dy=0(1)


この時、上式(1)の左辺が、ある関数 P(x,y) の微分 dP=Pxdx+Pydy になる時、
上式(1)を完全微分方程式という。

完全微分方程式は、dP=0 と記述できるため、完全微分方程式の一般解は、次式のようになる。
P(x,y)=C( C : 任 意 の 定 数 )

完全微分方程式の定理と判定

f(x,y)dx+g(x,y)dy=0 が完全微分方程式である。

f(x,y)dx+g(x,y)dy=0fy=gx


完全微分方程式の一般解の公式(定理)

完全微分方程式 f(x,y)dx+g(x,y)dy=0 の一般解は、次式で表される。
f(x,y)dx+(g(x,y)yf(x,y)dx)dy=C


完全微分方程式の例

  • 3x2y4dx+4x3y3dy=0


理由
P(x,y)=x3y4 の時、Px(x,y)=3x2y4=f(x,y),Py(x,y)=4x3y3=g(x,y) である。
さらに、以下の判定条件により、fy=gx が成立するため、完全微分方程式である。

  • 判定条件
    fy=y(3x2y4)=12x2y3
    gx=x(4x3y3)=12x2y3


完全微分方程式の例題

例題1.
次の微分方程式が完全微分方程式であることを確かめよ。
また、この微分方程式の一般解を求めよ。
(2x+y2)dx+(2xy+3y2)dy=0

解答.
f(x,y)=2x+y2,g(x,y)=2xy+3y2 とおく時、fy=2y,gx=2y であり、
fy=gx が成立する。
判定条件が成立したので、完全微分方程式である。

完全微分方程式の一般解の公式より、以下が成立する。
(2x+y2)dx+{2xy+3y2y(2x+y2)dx}dy
=x2+xy2+{2xy+3y2y(x2+xy2)}dy
=x2+xy2+3y2dy
=x2+xy2+y3

ゆえに、一般解は次式となる。
x2+xy2+y3=C( C : 任 意 の 定 数 )


例題2.
次の微分方程式の一般解を求めよ。
(2x+ey)dx+(1+xey)dy=0

解答.
まず、(2x+ey)dx+(1+xey)dy=0 が完全微分方程式であることを確認する。
y(2x+ey)=ey,x(1+xey)=ey
となるため、与式は完全微分方程式である。

完全微分方程式の一般解の公式を適用する。
(2x+ey)dx+{1+xeyy(2x+ey)dx}dy
(2x+ey)dx+{1+xeyeydx}dy
=x2+xey+(1+xeyxey)dy
=x2+xey+dy
=x2+xey+y+C

したがって、一般解は以下となる。
x2+xey+y=C ( C : 任 意 の 定 数 )