「応用数学 - 定数係数2階線形常微分方程式」の版間の差分

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  次式のように記述できる。
  次式のように記述できる。
  <math>y = (C_1 y_1 + C_2 y_2) + v \quad (C_1, C_2 : \mbox{ 実 数 } )</math>
  <math>y = (C_1 y_1 + C_2 y_2) + v \quad (C_1, C_2 : \mbox{ 実 数 } )</math>
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== 同次方程式の例題 ==
例題1 :
微分方程式 <math>\frac{d^2y}{dx^2} - 3 \frac{dy}{dx} + 2y = 0 \quad \cdots \quad (1)</math> と関数 <math>y_1 = e^x, \quad y_2 = e^{2x}</math> について以下の問いに答えよ。
(1) <math>y_1, \, y_2</math> は、上式(1)の解であることを示せ。
(2) y1とy2は、任意の区間で線形独立であることを示せ。
(3) y1とy2の線形結合の関数 <math>y = 2e^x - e^{2x}</math> も上式(1)の解であることを示せ。
<br>
==== 例題1 (1)の解答 ====
<math>y_1 = e^x, y_2 = e^{2x}</math> がともに方程式 <math>\frac{d^2y}{dx^2} - 3 \frac{dy}{dx} + 2y = 0 \quad \cdots \quad (1)</math> を満たすことを示せばよい。<br>
<br>
<math>y_1 = e^x</math> について、<math>\frac{dy_1}{dx} = e^x, \quad \frac{d^2 y_1}{dx^2} = e^x</math> なので、上式(1)の左辺に代入すると、<br>
<math>\frac{d^2 y_1}{dx^2} - 3 \frac{dy_1}{dx} + 2 y_1 = e^x - 3 e^x + 2 e^x = 0</math><br>
ゆえに、<math>y_1 = e^x</math> は、上式(1)の解である。<br>
<br>
<math>y_2 = e^{2x}</math> について、 <math>\frac{dy_2}{dx} = 2 e^{2x}, \quad \frac{d^2 y_2}{dx^2} = 4 e^{2x}</math> なので、上式(1)の左辺に代入して、<br>
<math>\frac{d^2 y_2}{dx^2} - 3 \frac{dy_2}{dx} + 2 y_2 = 4 e^{2x} - 3 \times 2 e^{2x} + 2 e^{2x} = 0</math><br>
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ゆえに、<math>y_2 = e^{2x}</math> は、上式(1)の解である。<br>
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==== 例題1 (2)の解答 ====
ロンスキー行列式 <math>W [y_1, \, y_2]</math> を計算して、線形独立性を判定する。<br>
<math>
\begin{align}
W [ y_1, y_2 ] &=
\begin{vmatrix}
y_1 & y_2 \\
\frac{d y_1}{dx} & \frac{d y_2}{dx}
\end{vmatrix}
=
\begin{vmatrix}
e^x & e^{2x} \\
e^x & 2 e^{2x}
\end{vmatrix} \\
&= 2 e^{3x} - e^{3x} \\
&= e^{3x}
\end{align}
</math><br>
<br>
ゆえに、<math>W [y1, \, y2]</math> は、任意の区間で零関数ではないため、y1とy2とは線形独立である。<br>
<br>
==== 例題1 (3)の解答 ====
<math>y = 2 e^x - e^{2x}</math> が方程式 <math>\frac{d^2y}{dx^2} - 3 \frac{dy}{dx} + 2y = 0 \quad \cdots \quad (1)</math> を満たすことを示せばよい。<br>
<br>
<math>
\begin{align}
\frac{dy}{dx} &= \frac{d}{dx} (2 e^x - e^{2x}) \\
&= 2 e^x - 2 e^{2x}
\end{align}
</math><br>
<br>
<math>
\begin{align}
\frac{d^2 y}{dx^2} &= \frac{d2}{dx} (2 e^x - 2 e^{2x}) \\
&= 2 e^x - 4 e^{2x}
\end{align}
</math><br>
<br>
これらを、上式(1)の左辺に代入すると、<br>
<math>
\begin{align}
(2 e^x - 4 e^{2x}) - 3(2 e^x - 2 e^{2x}) + 2(2 e^x - 2 e^{2x}) &= 2 e^x - 4 e^{2x} - 6 e^x + 6 e^{2x} + 4 e^x - 2 e^{2x} \\
&= (2 e^x - 6 e^x + 4 e^x) + (- 4 e^{2x} + 6 e^{2x}- 2 e^{2x}) \\
&= 0
\end{align}
</math><br>
<br>
ゆえに、 <math>y = 2 e^x - e^{2x}</math> は、上式(1)の解である。<br>
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__FORCETOC__
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[[カテゴリ:解析学]]
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2023年4月3日 (月) 20:39時点における版

概要

線形微分方程式とは、f1(x), f2(x), , fn(x), g(x) をxのみの関数とする。
この時、以下の形の微分方程式をN階線形常微分方程式という。

dnydxn+f1(x)d(n1)ydx(n1)++f(n1)(x)dydx+fn(x)y=g(x)(1)

上式において、g(x)=0 の時を同次方程式g(x)0 の時を非同次方程式と呼ぶ。

線形常微分方程式には、連立1次方程式の解の構造との類似性があり、線形代数とのアナロジーがある。
定数係数2階線形常微分方程式は、電磁気学、動力学、量子力学、振動現象等の記述に現れる。


解の存在と一意性

定理(存在定理) :
xのみの関数 f1(x), f2(x),  fn(x), g(x) が、区間Iで連続とする。
この時、I内の点 x=a における以下の初期条件のもとで、以下のN階線形常微分方程式の解は区間Iでただ1つ存在する。

初期条件 :
y(a)=b0,dy(a)dx=b1,,d(n1)y(a)dx(n1)=b(n1)

N階線形常微分方程式 :
dnydxn+f1(x)d(n1)ydx(n1)++f(n1)(x)dydx+fn(x)y=g(x)(1)


存在定理により、N階線形常微分方程式の解の存在が保障され、当該初期条件を満たすものがただ1つに決まる。
1階常微分方程式の初期条件は1つであり、N階常微分方程式では、N個の初期条件がないと解は一意に定まらない。

存在定理により、当該問題を解くための数値解析プログラムを作成することに対する正当性が保障される。


定数係数2階線形常微分方程式(同次方程式)の解全体の集合

以下の定数係数2階線形常微分方程式(同次方程式)について考える。
d2ydx2+f1(x)dydx+f2(x)y=0(*)

上式の解関数全体の集合をVとする。
V={y|d2ydx2+f1(x)dydx+f2(x)y=0}

次に、集合Vは、実数上のベクトル空間(2次元線形空間)となること(すなわち、Vは平面ベクトル全体と同じ構造を持つこと)を記述する。

定理1 :
解関数 y1,y2V を考える。
この時、次の関数u, vも集合Vの要素である。
(1) u=y1+y2
(2) v=ky1(k: 実 数 )


定理2 (重ねあわせの原理) :
同次方程式 : d2ydx2+f1(x)dydx+f2(x)y=0 の解である2つの関数y1, y2を考える。
この時、次の形も同次方程式の解である。
y=C1y1+C2y2(C1, C2: 実 数 )


定理1の(1)は、ベクトルにおける和に関する性質(ベクトルの和はベクトルである)に対応する。
定理1の(2)は、ベクトルのスカラー倍の性質に対応する。

定理2は、定理1から導かれる。
定理2は、線形常微分方程式が「線形」と呼ばれる由来である。

定理1および定理2により、同次方程式の解はベクトル(線形代数)とのアナロジーで扱うことができるということが分かる。

定理3 :
定数係数2階線形常微分方程式(同次方程式) d2ydx2+f1(x)dydx+f2(x)y=0 の解全体の集合Vは、実数上の線形空間を定める。


定理3は、同次方程式の解全体の集合は、線形空間(ベクトル空間)を定める。
すなわち、同次方程式の解関数は、ベクトルと同様に扱うことができる。(定理1を参照)

同次方程式の解は、線形代数とのアナロジーで扱うことができる。


解関数の線形独立性

定義 :
定数係数2階線形常微分方程式 (同次方程式) d2ydx2+f1(x)dydx+f2(x)y=0 の解となる関数y1, y2が、
ある区間Iにおいて、少なくとも1つは0でない実数k1, k2を用いて以下のように記述できる時、関数y1とy2はIで線形従属(1次従属)であるという。

また、2つの関数y1, y2が線形従属でない時、線形独立(1次独立)であるという。

k1y1+k2y2=0


上の定義は、ベクトルの線形従属・線形独立の定義とのアナロジーである。

線形同次微分方程式の解関数の線形従属性・線形独立性を判定するには、次の定理を使用する。

定理4 :
定数係数2階線形常微分方程式 (同次方程式) d2ydx2+f1(x)dydx+f2(x)y=0 の解関数y1, y2について、
次のロンスキー行列式 W[y1,y2] を考える。

この時、考察中の区間Iにおいて以下が成立する。

y1,y2 が 線 形 独 立 W[y1,y2]0

W[y1,y2]=|y1y2dy1dxdy2dx|


定理4により、ロンスキー行列式を使用すると、簡単な演算のみで線形独立性が判定できる。
(1) y1,y2 が 線 形 独 立 W[y1,y2]0
(2) y1,y2 が 線 形 従 属 W[y1,y2]=0


同次方程式の解

定理5 :
集合Vを定数係数2階線形常微分方程式 d2ydx2+f1(x)dydx+f2(x)y=0 の解全体の集合とする。
この時、線形独立な2つの関数 y1,y2V が存在し、任意の関数 yV は、y1とy2の線形結合 y=C1y1+C2y2(C1,C2: 実 数 )で、ただ1通りに表される。


上記のような線形独立な解の組 (y1, y2) を基本解という。
基本解は、線形代数でいう基底ベクトルに対応する。

定理の意味 :
基本解 y1, y2が見つかれば、他の全ての解(一般解)yもそれらを使って、以下のように表すことができる。
y=C1y1+C2y2(C1,C2: 実 数 )


基本解 (y1, y2) で全ての解関数yを表現できる。


非同次方程式の解

定理6 :
定数係数2階線形常微分方程式 (非同次方程式) d2ydx2+f1(x)dydx+f2(x)y=g(x)(1) の1つの特殊解をvとする。
この時、上式(1)の解yは、定数係数2階線形常微分方程式 (同次方程式) d2ydx2+f1(x)dydx+f2(x)y=0(2) の基本解 y1, y2を使用して、
次式のように記述できる。
y=(C1y1+C2y2)+v(C1,C2: 実 数 )



同次方程式の例題

例題1 :
微分方程式 d2ydx23dydx+2y=0(1) と関数 y1=ex,y2=e2x について以下の問いに答えよ。
(1) y1,y2 は、上式(1)の解であることを示せ。
(2) y1とy2は、任意の区間で線形独立であることを示せ。
(3) y1とy2の線形結合の関数 y=2exe2x も上式(1)の解であることを示せ。


例題1 (1)の解答

y1=ex,y2=e2x がともに方程式 d2ydx23dydx+2y=0(1) を満たすことを示せばよい。

y1=ex について、dy1dx=ex,d2y1dx2=ex なので、上式(1)の左辺に代入すると、
d2y1dx23dy1dx+2y1=ex3ex+2ex=0
ゆえに、y1=ex は、上式(1)の解である。

y2=e2x について、 dy2dx=2e2x,d2y2dx2=4e2x なので、上式(1)の左辺に代入して、
d2y2dx23dy2dx+2y2=4e2x3×2e2x+2e2x=0

ゆえに、y2=e2x は、上式(1)の解である。

例題1 (2)の解答

ロンスキー行列式 W[y1,y2] を計算して、線形独立性を判定する。
W[y1,y2]=|y1y2dy1dxdy2dx|=|exe2xex2e2x|=2e3xe3x=e3x

ゆえに、W[y1,y2] は、任意の区間で零関数ではないため、y1とy2とは線形独立である。

例題1 (3)の解答

y=2exe2x が方程式 d2ydx23dydx+2y=0(1) を満たすことを示せばよい。

dydx=ddx(2exe2x)=2ex2e2x

d2ydx2=d2dx(2ex2e2x)=2ex4e2x

これらを、上式(1)の左辺に代入すると、
(2ex4e2x)3(2ex2e2x)+2(2ex2e2x)=2ex4e2x6ex+6e2x+4ex2e2x=(2ex6ex+4ex)+(4e2x+6e2x2e2x)=0

ゆえに、 y=2exe2x は、上式(1)の解である。